祝鬼

見鳥望/greed green

代償

 ーー最悪だ。


 最悪という言葉があまりに軽率に使われているが、紛れもなく自分の身に起きている出来事は最悪の類の一つだろう。


 終わりだ。いくら後悔してももう何一つ取り戻せない。


“おめでとうございます。どうか鬼様おいでください。あなたと私の望むものを取り替えましょう”


 ーーなにが祝鬼だ。


 いくら毒づいても無駄だ。それでもやり場のない怒りと虚しさと哀しさを抱えて永遠の檻の中で過ごすには必要な事だった。


「これがお前の代償だな」


 目の前の存在が愉快そうに下卑た笑みを浮かべる。

 代償? 代わりに何かを得て初めて代償だ。


 こんなものは、代償とは呼ばない。

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