同僚の誘いで合コンへと向かうサラリーマン。
彼には幼い頃の小さな トラウマ が、今も
存在していた。デザイン会社での仕事は概ね
順調。そもそも絵を描く事が好きだった彼の
方向性に気づかせてくれたのも、あの
小学校六年生の頃だろう。
大阪から東京の小学校へと転校してきた
彼は、そこで 不思議な少女 に出会う。
周囲からは一線を画した彼女はいつも黒を
基調としたゴスロリファッションに身を包み
まるで祈る様に言葉を紡いだ。
言葉とは、まさに言霊であり森羅万象を、
神を、世界を寿ぐもの。美しい言葉を自在に
扱う孤高の少女への畏怖は、兎小屋の
飼育を通して少しずつ距離が縮まって行く。
何処か常人離れした彼女への 気持ち は
一体、何なのだろうか。
人は、思い出の中に何かを見定めては、
独自の想いで崇拝する。
大人になるという事は、それを捨てても尚
改めて何かを得る事なのだろう。
このささやかな、それでいて愛おしく
優しい物語は確かな光を齎らす。
人生は、無機質だが無慈悲ではない。
誰にでもきっと、ささやかな光は届く。