第31話:黒猫同行、条件付き


遺跡を出たはずなのに、


なぜか日常が戻ってこない。


正体を隠すと決めた神様(猫)と、


猫を「様付け」で呼ぶ三人組 笑


――――――――


※ブクマ・評価いただけると、物語がもう一段階進みます。



第31話:黒猫同行、条件付き


街が見える丘の手前で、三人は足を止めた。


「……確認しとこう」


ウルガが、肩の黒猫を見る。


「街では――」


「妾が神だという話は伏せる、じゃな?」


バステトが先に言った。


「はい」 「その通りです」


セレナとエンキドも即答する。


「神格が露見すれば、確実に面倒になります」 「最悪、街一つ吹き飛ぶ騒ぎだな」


「ふむ」


バステトは少し考え、


「では妾は“普通の猫”という事にしておこう」


「助かります、バステト様」


三人同時に頭を下げる。


「呼び方は?」


「「「バステト様で」」」


「よい」


その時点で、すでに普通ではなかったが、


誰も突っ込まなかった。




■ 街中


街門。


「……黒猫、ですか?」


門番が首を傾げる。


「はい。……少し気位は高いですが」


ウルガの言葉に、黒猫が「にゃ」と鳴く。


門番は一瞬だけ息を詰まらせたが、


「ど、どうぞ」


それ以上は何も言わなかった。


「……通れましたね」


セレナが小声で言う。


「神威、抑えてるんだろ」 エンキドがぼそっと返す。


「妾、えらいじゃろ?」


「ありがとうございます、バステト様」




■ 食堂


空いている席に座ると、


バステトは当然のように卓上へ。




なぜか注文より先に料理が来た。


誰も理由を考えない。


「……静かですね」


セレナが周囲を見る。


客も店主も、なぜか必要以上に距離を取っている。


「猫、嫌われてます?」


「好かれすぎてるだけだ」


エンキドが即答した。


バステトは満足そうに尻尾を揺らす。


「妾、街は嫌いではない」


「……それは何よりです、バステト様」




■ 宿にて


部屋に入るなり、ベッド中央へ黒い影。


「ここが妾の場所じゃ」


「はい」


即答。


誰も異議を唱えない。


「……」


ウルガは壁にもたれ、天井を見る。




「どうした?」


「いえ……何でもありません、バステト様」


黒猫は喉を鳴らした。


「安心せい。


 妾は大人しくて愛らしい猫なのじゃ」


三人は無言で頷くしかなかった。

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