第1話 少年期 ――貧乏騎士爵家・ウトナビス

転生――始まりの記憶




気づいたとき、


俺は――死んでいた。


いや、正確には「死んだはずだった」。


前世の記憶は、


驚くほどはっきり残っている。


日本という国。


剣も魔法も存在しない世界。


努力しても報われず、不運だけが律儀について回った人生。


病院の白い天井。


心電図の音。


そして、途切れる意識。


――次は、遠慮しない。


――自分の人生は、自分の欲望で選ぶ。


そう誓った瞬間、


俺の意識は闇に沈み――


再び、光に包まれた。


赤子の視界と、違和感


目を開くと、


視界はやけに低く、歪んでいた。


声を出そうとしても、


喉から漏れるのは意味のない泣き声だけ。


(……赤ん坊、かよ)


理解した瞬間、


奇妙な冷静さと、どうしようもない可笑しさがこみ上げた。


だが、それ以上に――


はっきりと「おかしい」と思ったことがある。


(……重いな)


意識の奥に、


何かが在る。


形はない。


音も、光もない。


だが確かに――


“箱”のような存在感。


(……玩具箱?)


その瞬間、


俺は確信した。


これは、


この世界のものじゃない。

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