第8話 双子でも違うものは違うもので【1】

「あーもう。お願いだから無事に終わってくれ」


 湯船に浸かりながら、独り、そうごちる。


 しかし、まさか本当にあの二人と一緒にお風呂に入ることになるとは……。いつ以来だ? 小学生の頃はよく三人で入ったりしてたけど。つまり、えーっと。約四年振りくらいか。


「アイツら、変なこと考えてないよな……」


 変なこととは一体何ぞや? と訊かれるならば、エロいことをされると答えよう。そういうことに全く免疫のない僕だから、何かされたらぶっ倒れる自信がある。いくら幼馴染とはいえね。


「イェーイ! 桃ちゃん登場ーー!!」


「も、桃!! ちょっと待て!! バスタオルがはだけたらどうするんだよ!!」


 あまりに勢いよく浴室に入ってきたから、ついつい口調が強くなってしまった。でも、桃は全く気にしていないご様子。そのままの勢いで湯船に飛び込んできた。まずはかけ湯くらいしろよ!


「はだけたら? はだけたらどうなるの?」


「ど、どうなるのって……」


「ははーん。クロちゃん、今エッチなこと考えてたでしょ?」


「……は?」


「全く。男子ってほんとどうしようもないよね。くだらないことばっかり考えてさ」


 ニタニタしながらそう言った桃だけど、違う。エロいこと考えてるのはお前と緑の方だろうが! じゃないと、普通こんな状況を作ろうとしないから!


「まあクロちゃんがお望みならいいか。はい。どうぞー」


「ぐおっ!!」


 湯船に浸かっていた桃は立ち上がり、体に巻きつけていたバスタオルを外した。つまりは全裸で。つまりは一矢纏わぬ姿で。その状態で僕の眼前に仁王立ちした。


「み、見せるなバカ!!」


 焦って背中を向けたけど、時すでに遅し。全部見ちゃったよ……。


「えへへー。どう? どう? 高校生になった桃ちゃん様の裸は? さあクロちゃん、感想を述べなさい」


「……黙秘権を行使します」


 と、言ったはいいけど、はっきり言って舐めていた。ずっと『小学生と変わらない』とか言ってた僕だけど、撤回する。完全に大人のソレじゃん。


 くっつかれた時に胸はないと思ってたけど、違った。ちゃんとあった。慎ましやかではあったけど、四年前に見た時とは大違いだった。


 桃の胸にはしっかりと膨らみがあり、腰には女性として美しいくびれ。あと、良い子の皆んなのために言葉にはしないけど、アレ。いや、アソコ。ちゃんと、その……うん。そう。そんな感じ。


 駄目だ。もうぶっ倒れそ……う!!?


「な、なななな、何してるのかな桃さん!?」


「何って、いつもみたいに抱きついてるだけだけど?」


 あっけらかんと言ってのけてるが、ぶっ倒れるまでのカウントダウンが始まった。おいレフェリー! どこにいる!! 早く僕にスリーカウントをくれ!!


「い、いいい、いつもみたいにってな。桃。いや、桃様。お、お願いですから離れてもらえませんでしょうか?」


「離れてあげませんですことよ?」


 いくらなんでも冗談がすぎるだろ……。だってコイツ、僕の体に両腕を回してぴったりとくっついてきてきやがるんだ。そのせいで背中に桃の柔らかでぷにぷにとした胸の感触が全身に伝わってきて、完全に僕の思考の全てを支配してきたから。


「どう? クロちゃん? これでもまだ桃のことを小学生みたいとか言うのかなー?」


「い、いえ、もう二度と言いません……。だからお願いします、離れてください」


「ダメです。まだお姉も来てないし。それまでは桃ちゃん無双をお楽しみあれ!」


 わ、忘れてた……。緑も来るんだった。ま、まあコイツは恥じらいを質屋に入れてきたくらいだから仕方がないと諦めよう。でも、緑だったらこんなことをすることはないだろう。


 と、そんなことを考えていた時もありました。はい。


 大間違いだったんだけどね!



『第8話 双子でも違うものは違うもので【1】』

 終わり

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【カクコン用】ツンデレ姉とデレデレ妹の双子幼馴染とヤンデレが僕を取り合ってる件 十色 @midorinooka_new

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