第8話 亜紀さんのお願い①
高田物産の喫茶室は、物産創立時、つまり明治期からの歴史を誇る純喫茶です。
内装も豪華なヨーロッパレトロ風で、格式の高さを感じさせます。
普段は全く物おじしない佐藤由紀子も少し緊張している感じ。
「なんか場違い?」
「ファミレスとは違うなあ」
(それ以前に君は牛丼一筋タイプ)
キョロキョロしていたら、上品な渋めの中年ウェイターに亜紀さんの席に案内されま
した。
(しかも個室だ、特別待遇かな)
亜紀さんは、クスクス笑っている。
「ごめんね、明風のことで」
(いいなあ、呼び捨てできる、いとこの美人お姉さま)
「こちらこそです、昨日見たばかりなのに、明風君フェチになってしまいました」
(本音、そのものだ、でも隠したくない)
(明風坊やは、私が愛でたい)
佐藤由紀子(マジにお邪魔虫だけど)
「すごく可愛いですよね、可愛いだけでなくて、花のような雰囲気がある」
(うん、むしって食べたい)
(でも、由紀子には、あげないよ)
亜紀さんに見つめられた。
(やはり美女だ、吸い込まれる感じ)
「聞きたいことって、明風のことだよね」
「はい、できれば趣味とか」
「なかなか、会話が続かないので」
(これも本音、亜紀さんにも、明風坊やにも、直球勝負だ)
佐藤由紀子
「マジにケンモホロロなので」
(由紀子には、一生ケンモホロロでいいよ)
(明風坊やは、私が抱いて愛でたい)
亜紀さんは、ニコニコしている。
「明風は、何でも器用にこなすよ」
「写真も絵も、親に仕込まれている」
「でも、好きなのは音楽かな」
「楽器とか、歌ですか?」
(月並みだけど、聞きたい)
亜紀さんは、笑顔のまま。
「子供の頃からピアノ弾いて合唱団にもいて」
「ギター、トランペット、それからクロマチックハーモニカもいいよ」
「歌心があるって感じ、聞き惚れるよ」
佐藤由紀子も、笑顔だ。
「あのルックスで、絵と写真、音楽までもですか」
「女の子がほっておけませんよね」
(こら!そこでヨダレ?)
「ありがとうございます」
「私も音楽は好きなので、会話の糸口がつかめそうです」
(素直に感謝です)
亜紀さんが、少し真顔で、私たちを見つめて来た。
(その真顔、マジに美形だ、ドキドキする)
「でね、二人に、私もお願いがあるの」
「はい」
(私も由紀子も、背筋を伸ばしました)
次の更新予定
私は自他ともに認める社内一の美女なのに!君はどうして、私を無視するの? 舞夢 @maimu
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