4話「執拗」(ほぼ3話と本質が変わらない為)

高校へと連なる、枯れた並木が見えてくると先ほどまでの沈黙は消え、生徒同士の話し声や笑い声、チャリを飛ばす音が聞こえた。

今まで鬱陶しいと感じていた音が、今ではありがたいとすら感じるようになってきた。

、、、校門の手前まで到着したところで、俺の中に、一つの課題が生じた。

「こいつをどうするか、だな、、」

「こいつじゃなくて、蒼って呼んで。」

いや、それは流石に「恥ずかしいからやめろ」と言う。

「私も悠大って呼ぶから」

そういうことじゃないが。

逆に甚大な被害を被ることになるから辞めてほしい。

「それは置いといて、部外者のお前を学校に置くわけには行かない。」好きにしろ、と言っても、俺の教室までついてきて面倒くさいことになるのは目に見えている。何かいい方法は、、、

あっ、そうだ。

「なあ、かくれんぼしないか?お前が鬼で」

と、耳打つ。何あの人、なんでかくれんぼ?とは思われたくないので。

「私、かくれんぼ得意。やろう。」

ふっ、ハマったな。まさかハマってしまうとは思わなかったが。

「よし、1分数えてからこいよ!じゃあな!」

俺はいち、にー、と数える蒼を背に向けて教室に駆け上がった。

その後は何も起こることもなく、1,2,3時限目と時は流れ、かくれんぼのことなんかとうの昔に忘れていた。なんなら、諦めてどこかへ行ったのではないか?と期待もした。

4時限目、精神的な疲れがこみ上げて寝てしまったのだと思う、が。驚くべき方法で起こされることになる。それは教師による悪戯でも隣の席の優等生による揺さぶりでもなく。

バンッ。と、ドアの開く音。

その音でぼんやりながらも目が覚めてしまったかと思いきや、こう聴こえたのだ。

「悠大、いる?」

そのひと言ではっきり目が覚めてしまった。

クラスメイトのほとんどが俺の方に視線を向けたり、

「おい、あの美人誰だよ」「かわいい〜」などとざわつく。

クラスメイトの視線に触れないように

教師のほうをちらっと見ると、唖然としている。「え、ええと。こんなときどうすればいいのかしら、、、」と、教師。

勿論俺は知らんふりをする。が、そんなことは無意味な抵抗だったらしく、バレないように窓に顔を擦り付けてグラウンドを見ていた俺は気付かなかったが、軽く駆け足で

席の目の前に来たころには既に異様な視線を感じながらも、蒼が少しかがみ込んだやいなや俺頭に片手をぽん、と置かれ、

「みーつけた」と、やはり感情は見当たらないが、高らかな勝利宣言をされている気がした。

無邪気なのが余計腹が立つ。

「わかった、おれの負けだから、頼むから外に居てくれ」

そう言われた蒼は、ぽかんとしながらも

「うん、じゃあね。」と言い、この教室をあとにした。

「えぇ!?悠大、あの子何?彼女?!」

「きれいだなあ、羨ましい!」

などと大勢に盛大な勘違いされるため、

「待ってくれ、えぇーと、、そうだ、妹だよ、妹!いやー最近はお兄ちゃんっ子で困るんだよほんっとに!」

苦しい言い訳をしてみるが、クラスの連中はどうやら蒼の可愛さに夢中になっていて、その関係や事情はどうでもよかったらしく、助かった。だが、自分の中で、彼女という設定だけは避けなければならないと本能が悟ったのだ。

その後の授業は、生徒間では蒼のことで持ちきりざわざわ状態だった。

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