第8話 スキル絆石
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第8話:スキル絆石
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灰の平原を、ひたすらに飛ぶ。
アピサルに抱えられた俺たちは、聖騎士団の追跡を振り切るため、遺跡から離れ続けていた。
「こっちの方向でいいのよね?」
「あぁ、灰の平原の中央より南に行けば、ヴェルディア王国の勢力圏外に出る。当然他国の勢力に鉢合わせる可能性はあるけど、魔王討伐軍程の戦力を整えた軍勢に会う事はないはずだ」
大陸中央部にある灰の平原は、どこの国にも属さない一つの地域ではあるのだが、その外周には各列強国がある為、灰の平原の中心部から東西南北に十字線を引いたような区分けでそれぞれの国の影響力が強くなっている
今はヴェルディア王国が灰の平原の中心部を実効支配しているが
ルミナス教国・魔導王国アークメイジ・トラガル連邦等も常に中央部を狙っており、隙を伺っている
いくら魔王討伐軍といえど、他国の勢いが強くなる区域への侵入には慎重にならざるを得ないだろう
アピサルを魔王と誤認している以上、魔王討伐軍が追ってくるのは間違いないが、常に漁夫の利を狙う他国の存在を考えると、中央部を手薄にする戦力の移動にはある程度の調整が必要なはずだ
歴代最強の聖騎士団長が率いる軍とはいえ、俺たちの体制を立て直すだけの時間は稼げるだろう
それにうまくいけば、彼らは攻めてこず、魔王の居ない灰の平原中央部で神殿建設を優先するかもしれない
(でも、もしそうなったら、ガルド=イグノアがこの世界の主神になって、今よりも加護の力が増すことになる...そうなってからアピサル討伐に本腰を入れてこられたら...勝てるのか?)
ランザ達が聞いた魔王降臨の神託は、果たして本当の魔王の事なのか、それとも今俺を抱えてくれるアピサルの事なのか...俺には判断することができない
(でも、仮にどちらだったとしても、アピサルを、皆を守るんだ)
それからしばらくしてアピサルが、ようやく速度を落とす。
遠目にも炎の光は見えない。
「じゃあ一度止まって、治療をしよう」
俺は、マリエルとピー助を確認する。
マリエルの羽は焦げ、ピー助の体には無数の傷が残っている。
「主様、私達は心配無用です。それより主様にお怪我は?」
「俺は大丈夫。皆の、とくにピー助のおかげで命拾いしたからね」
「主様の最後のスキルはすごかったです!」
「ピッピィ!」
「あれはピー助のスキルを借りただけだから、俺がすごいんじゃなくて、ピー助がすごいんだよ」
俺はピー助をなでる
ピー助は褒められてまんざらでもなさそうに胸を張る
その姿に、心に張り詰めていた緊張の糸がとけ、ホッとした
そしてマリエルは呼吸を整えた後、聖光魔法で全員の傷を癒したのだが、予想以上にこれにてこずった
まず一つ目が俺の虚脱感が全く取れなかった事
これは絆共鳴スキルによるデメリットであり、回復魔法ではどうにもならず、時間経過での自然回復を待つしかないのだろうという結論に至った
そしてもう一つ、アピサルを治療するのに時間がかかったのだ
この世界の治療魔法は何でもすぐに直せる便利魔法というわけではなく、治す部位への深い理解が必要だ。それが無いと魔法自体が発動しない
これまでピー助や俺をすぐに癒せていたのは、人間の体と羽を持つマリエルの知識が俺たちの治療に役だったからだろう
アピサルに治療魔法が必要になる想定をしていなかったマリエルは、アピサルの体への理解を後回しにしてしまっていたようで、その事を深く反省していた
「私が未熟なばかりに...申し訳ありません」
「いや!マリエルのせいじゃないよ」
「そうね、わらわは悪魔と大蛇と巨人と...とにかく普通ではないから、わらわを治療するのが困難なのは当り前よ...」
羽をシュンとたたみ小さくなるマリエルをみんなで慰める
「深淵界に居た時、アピサルが怪我したときはどうしてたの?」
「再生スキルで一瞬で治ってたわね」
「...さすが神話級越えだね」
「主様を支えきれないなんて天使の名折れです!次までには必ずや即時治療が出来るようにします!!」
マリエルは、今回の敗北で認識が甘かったことを痛感したらしく、もっと真剣に取り組むと目に強い決意を宿していた
傷の治った俺達は、少しでも長く身を隠し、休める場所を探すために、再び移動を開始した
遠くから登る朝日に目を細めながらメニューを見ながら今後の方針について考える
まず、昨日の戦闘で手に入れた新スキルを確認する
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【絆共鳴】
絆Lv15以上の仲間と魂を繋ぎ
その力を一時的に宿す
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「これが...昨日使った力か」
ピー助の希望の盾を使えなければ俺は昨日死んでいただろう
そして俺が死ねば自然と皆は虚無界へと逆戻りしていたはずだ
やはり皆のすさまじいポテンシャルをいち早く取り戻させるのが俺の務めになるのだろう
地球の神ガイアにしては珍しく、より細かな詳細が見れたので確認する
レアリティによって絆ptを使用
R:20
SR:40
SSR:70
使用可能スキルは封印中も含め全スキルからランダム
レンタルするスキルは能力ロックはされていない
使用時間5分そして――
「実力差に応じて反動あり...か」
使用時間や反動の強さは絆lvによって補正がかかるようだ
発現した直後のlvでは特に補正はないのか、ピー助との共鳴が終わってから、全身が激しい痛みと虚脱感に襲われている。
Rのピー助でこれなら、SRのマリエルやSSRのアピサルと絆共鳴をしたらどうなるのだろうか
正直不安が募る
「でも...」
俺は、マリエルとアピサルの名前を見る。
「皆の力を、借りられる」
これが、絆の力。
俺一人じゃ弱い。
でも、皆と繋がれば――
「強くなれる」
絆pt消費量は痛いが、俺自信が戦闘に貢献できる可能性が出来たのは素直にうれしい
俺の力ではないが、全盛期の皆の力を引き出せるという能力はすさまじい
「...あれ?」
メニューに表示されている皆のステータスに、見える情報が増えていることに気が付いた。
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【アピサル】絆Lv 17
スキル
· 深淵魔法: MAX(弱体化中)
· 魅惑術: MAX(弱体化中)
· 飛行: Lv8(弱体化中)
ロック中(他7)
· 毒魔法: Lv10
· 女王の威圧: 自己領域内の敵全体ステータス1段階減少
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【マリエル】絆Lv 16
スキル
· 聖光魔法: MAX(弱体化中)
· 光剣術: Lv10(弱体化中)
· 飛行: Lv10(弱体化中)
· 魅了: 美貌による好感度上昇に補正(弱体化中)
ロック中(他5)
· 天使変身: 常時祝福状態、異常状態無効、全ステータス2段階上昇。神罰魔法解放
· 純真の瞳: 相手の本質・嘘・隠し事を完全看破
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【ピー助】絆Lv 16
スキル
· 自己犠牲: Lv10:他者へのダメージを自己に移し、己の防御力で受け止める(弱体化中)
· 雛勇者の加護: 自己ステータス犠牲で味方単体ステータス強化(弱体化中)
· 小さな勇者の大きな勇気: ステータス・サイズ差に応じた攻撃反射(弱体化中)
· 無能: スキル習得困難化
ロック中(他7)
· 希望の盾: 弱者を守る条件での絶対防御
· 不屈の心: 諦めない限り、戦闘継続時ステータス向上
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「スキルの詳細が...見えるようになってる」
召喚時は1つのスキルと他としか表示されてなかったのに、現在解放されてるスキルと、ロックされているスキルの一部が見えるようになっている
何時からこの変化が起きたのか
もしかしたら絆lv15になったときに解放されたのかもしれない
しかし、何の通知もなかったから危うく見逃すところだった
(変化が起きたならお知らせを出してくれよな...)
相変わらず地球の神は不親切だ
それからしばらく移動を続け、手ごろな岩場の影を見つけた。
ここなら、遠くから発見される事はなさそうだ。
「ありがとうアピサル、ここで休もう」
アピサルが体を横たえ、俺たちは岩陰に身を隠す。
「はぁ...」
ようやく緊張が解けた。
全身の疲労が、一気に押し寄せてくる。
キャンプ道具を取り出し、本格的に休みを取りたいが、何時敵が現れるかもわからない状況では、撤退時の紛失リスクが高い
ここまでの数日間ガチャを回して思ったが、ガチャの種類はかなり豊富で、同じものが出る可能性はあまりないらしい
有効そうなものに絞ったガチャにしてくれてもいいのに、地球の神のこだわりという奴だろうか?
だとするならば、もっと他にこだわるところあるだろうと頭をたたきながらツッコミをいれてやりたい
皆もかなり精神的に疲労したようで、各々目を閉じて、身を休めている
俺はその中で、目を閉じながらもイメージトレーニングをしているのか、羽根がピクピク動くピー助に目がいく
その理由はさっき見たメニュー画面にあった、ピー助のあるスキル――
――【無能: スキル習得困難化】
「ピー助...」
今まで何度も俺を守ってくれたピー助が、無能。
しかし、それを一切感じさせない程のスキルレパートリー。
(ピー助は、この小さな体で...いったいどれほどの努力を重ねてきたんだ)
俺がレンタルしたピー助の希望の盾
守る者を背負う条件下での絶対防御
ピー助のスキルには自分中心のものはない
どれも他者を中心にしたスキル
ピー助が何のために努力を重ねてきたのか、それがとてもわかる
俺はピー助を優しくなでる
「ピィ?」
目を閉じていたピー助が、くりくりした目で俺を見上げる。
(どれだけの悪意がお前を襲ったことだろう...)
己の脳裏に、無能と蔑まれながらも努力を続け、そして諦めた過去の自分が浮かぶ。
(だけど、ピー助は諦めなかったんだ。諦めなかったから...勇者になったんだ)
でも
(虚無界へ落ちた)
一体ピー助に何があったのか...
そして虚無へ落ちる何かがあったとしても、召喚された直後から文句ひとつ言わずに俺を守り続けた小さな背中
何があってもあきらめない、守ることを止めない勇者
ピー助は本当にすごい奴だ。
小さな体で、何度俺を驚かせれば気が済むんだろうか。
自分を超える精神力に、思わず敬意を持って接しそうになるが――
それは違う。
俺がすべきは――
「ありがとう、ピー助! お前は誰もが思い浮かべる、理想の勇者だ!」
俺は全力で、ピー助を褒めることだ
「ピィ! ピィィィ!」
ピー助が、嬉しそうに鳴く。
(俺が呼び出したんだ。俺が責任を持って、皆の平穏を手に入れる!)
アピサルの愛。
マリエルの献身。
ピー助の勇気。
俺は改めて、皆を幸せにする重圧と責任を背負う。
(その為にも...なんとしても、今の状況を乗り越える!)
俺は、決意を固めた。
「よし...ガチャを回そう」
俺は、メニュー画面を開いた。
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現在の絆pt: 122
現在の絆石: 33
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(122pt...10連で回すなら2回分か)
ステータスの文言から、皆のスキルを開放したり、強化したりするアイテムがあるのは間違いない
問題は20回という少ない回数でそれを手に入れられるかという事だ
最大24回回す事は出来るが、絆共鳴のスキルは強力だったため、使用するための絆ポイントは残しておこうと思う
俺に切り札があるとないとでは、俺を守るアピサル達の心持がだいぶ違うだろう
俺は、深呼吸をする。
狙うは仲間を強化する特殊な絆石
次点で大絆石をゲットして新しい仲間の召喚
「頼む...強くなるためのアイテムを...!」
余りにつよく祈ったせいか、心なしか【絆ガチャ】の文字がいつもより光って見える
俺は勢いよく文字をタップし、呼び出したガチャマシーンを勢いよく回した。
光が弾ける。
出てきたのは
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【N】缶詰セット(さば味噌煮×3、ツナ×3)
【N】インスタント味噌汁×10食
【N】袋麺×5袋(豚骨)
【N】調味料セット(ケチャップ、マヨネーズ、ソース)
【N】UNO
【N】ロープ10m
【N】懐中電灯×2
【R】絆石×1、スキル絆石(下位)
【R】絆石×1、和牛(バラ)2kg
【R】絆石×1、高級野菜セット
【R】絆石×1、寝袋×2個
【R】絆石×1、LEDランタン×2個
【R】絆石×1、クッカーセット
【SR】絆石×3、ポータブル電源(1000Wh)
【SR】絆石×3、炊飯器(5合炊き)
【SR】絆石×3、スキル絆石(上位)
【SSR】心像石
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「おお...!」
大量のアイテムが出現した。
待望の【SSR】まである
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【心像石】
絆Lvが一定値に到達した対象の
心の世界に入ることができる
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※使用条件: 絆Lv ???
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今は使えないようだが、文字から推察するに、心に触れ、より絆を深められるという事だろうか?
今は推測の域を出ないので、大人しくインベントリにしまう
(もしここで大絆石×10が出てくれていれば新しい仲間を呼ぶことも視野に入ったんだけどな...)
まだまだ絆石の在庫が心もとない状態でギャンブルをする事は出来ない
「UNO...こんなのまで出るのか?」
俺は、見覚えのあるカードゲームを手に取った。
前世で、親戚や友達と集まったときにやる定番のゲーム
長い年月が経った今、一緒に遊んだ人の顔までははっきりとは思い出せないが
楽しかった記憶は覚えている
日常の何でもない1ページ
それをこの世界でもみんなと分かち合いたい
「これ、後で皆でやろう」
「ピィ?」
ピー助が、首を傾げる。
俺はそんなピー助が無性に愛らしく思え、頭をなでる
「楽しいゲームだよ。今度教えるから」
小さな日常の幸せ。
それを、いつか手に入れて見せる。
そしてこれが――
「スキル絆石...!」
俺は【スキル絆石(上位)】を手に取った。
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【スキル絆石(上位)】
対象のロックされているスキルの内、
ランダムに選出された3種類の中から
1つのスキルを開放します
※制限解除石を使わないと
弱体化は解除されません
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上位は3種類か等の選択でスキルを開放できるようだ
調べてみると、下位も解放できるのは一緒だが、選択肢はなく1種類がランダム選出されるらしい
このタイミングで2つもスキル絆石が手に入った奇跡
俺は思わず地球の神ガイアに祈りをささげる
(ホント何時も不親切だけど、今だけは感謝を捧げます!本当にありがとうございます!)
「これで...皆の力を取り戻せる」
でも、誰に使うべきか。
戦力筆頭のアピサルを強化するか。
ピー助の守護スキルを強化するか。
マリエルを強化して補助力を強化するか――
攻撃か、守備か、回復補助か
どれを強化するべきか迷う
上位を使って確実な強化が出来るのが1回
下位を使って今の戦局に優位になる保証がないギャンブル性の高い強化が1回
全員を強化することは出来ない
慎重に選ばなければならない
(...待てよ)
俺は、戦闘を思い返す。
一番の足手まといは...俺だ。
新しいスキルを得たとはいえ、時間の限られたスキル
次の戦いで何より大切になるのは、俺が皆の邪魔をしないことだろう
俺を守らず自分の戦いに集中できれば、ピー助もマリエルもあんなに簡単にやられることはなかったはずだ
次に戦うことになったら、俺はひたすらに身を隠し、皆に戦ってもらうのがベスト
少し強くなったとしても相変わらずの、お荷物具合に心が弱りそうになるが思考は止めない
(それなら俺がピー助と共に距離を置き、アピサルとマリエルで制圧してもらうのが一番いい。ピー助が居れば俺の安全もかなり保障される。だけど、万が一が起きた時にマリエルが拘束されたら戦いにならない)
今日の戦いで、それが致命的だとわかった。
(アピサルを強化してもガルド=イグノアの加護と相性が悪いものしか出ない可能性もある。であれば結局ジリ貧だ。相性が悪くてもアピサルがすぐにどうこうなるような気配はなかった。であれば相性が関係ない存在を強化し、アピサルの補助を強める方が、戦局は優位に傾くはず)
俺は脳内でそう結論付けた
(マリエルを強化しよう!)
決意を固め、スキル石を握る
「マリエル」
「はい、主様」
「これを...使って欲しい」
俺は、スキル絆石(上位)をマリエルに渡した。
「主様...?」
「マリエルの力を、解放する」
マリエルが、驚いたように目を見開く。
「でも、アピサル様の方が――」
「今必要なのは、戦力の底上げだ。マリエルのサポートが十全なら...アピサルも負けない」
マリエルの瞳が、潤む。
「...私の様な愚かな天使を信じてくださりありがとうございます、主様」
マリエルが、スキル絆石を握りしめる。
――パキィン
石が砕け、光がマリエルを包む。
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【マリエル】
ロック中のスキルから
ランダムに3つが選出されました
· 天使変身
· 神学
· 光の裁き
スキルを1つ選択してください
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「天使変身...これだ!」
俺は、迷わず選んだ。
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【マリエル】
スキル【天使変身】が解放されました
· 天使変身: 常時祝福状態、異常状態無効、全ステータス2段階上昇。神罰使用可能
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「これは...」
マリエルの体から、光が溢れ出す。
「天使変身――神罰の戦天使」
マリエルが翼を大きく広げ、スキルを宣言する。
光の粒子が集まり始める。
まばゆい光の中で、マリエルの姿が美しく変化していく。
白いドレスが光に包まれ、薄紫と金の装飾が施された戦闘装束へと変わる。
胸当てと腰当ては神聖な金属で作られ、神々しく輝いている。
背中の白い翼が巨大化し、薄紫のグラデーションを描きながら力強く羽ばたく。
頭上の光の輪が裁きの光輪となり、神の権威を示すように回転する。
そして最も美しいのは、手に現れる神罰の光剣。
透明な刃身に神聖文字が浮かび上がり、柄は純白と薄紫で彩られている。
ピンクブロンドの長髪が戦闘の風になびき、青い瞳に神聖な光が宿る。
まさに天界から遣わされた、戦う天使の完成だった。
「おおおお!」
俺は、大興奮した。
(変身美少女戦士!? これを生で見れる日が来るなんて!?)
「ピィィ!」
ピー助も、感動している。
「あらあら、随分と派手ね」
アピサルが、感心したように呟く。
「主様...見ていてください」
マリエルが、俺を見つめる。
その瞳には、確かな決意が宿っていた。
その時――
「主様、魔物の気配が近づいています」
マリエルが警告する。
「どのくらいの強さ?」
「...かなり強大です。この世界ではまだ遭遇したことの無いクラスの魔物かと」
「じゃあ、ちょうどいい」
俺は、マリエルを見た。
「新しい力を、試そう」
グルァァァ...
遠くから、魔物の唸り声が聞こえた。
四本の脚で地面を豪快に進む龍種
「カオスドレイク...灰の平原でもトップクラスの魔物だ、マリエル、あいつで君の新しい力を見せる事は可能か?」
俺は、マリエルを見る。
マリエルはほほえみをもって答え前に出た。
「お任せください――我が神に勝利を捧げます」
翼は生えていないが竜種
魔法と物理攻撃をはね返す強靭な鱗に、ブレスを吐き、全てを砕く顎
そして通常のドレイク種より厄介なのが、常に周囲に腐敗毒をまき散らしている事
ガルド=イグノアの加護の加護がlv2以上あれば毒素を燃やしつつ継続回復が出来るので比較的優位に戦えるらしいが、加護がない戦士にとっては出会えば死が確約されるほどの難敵
果たしてマリエルはどのように戦うのか
マリエルがカオスドレイクを睨み、翼を広げ宙に浮かぶ
次の瞬間マリエルの翼から無数の光剣が生み出される
「神敵を穿て。神罰――【天翼閃】」
そしてその光剣が高速回転をしながらカオスドレイクに勢いよく飛んでいく
カオスドレイクはその図体からは考えられない程の俊敏な移動で最初の数発は避けたが、すぐに光剣の軌道修正に追いつかれ被弾していく
カオスドレイクの強靭な鱗は螺旋光剣1発で砕ける事はなかったが、5発10発と雨のように被弾することでひび割れ砕け散り、その下にある皮膚から光剣の体内への侵入をゆるしてしまった
「ガァァァァァ――ッッ!!」
カオスドレイクは地面に縫い付けられ、身動きを取ることができなくなった
しかしその目の狂気は消えることなく、盛大に流れる血と共に、腐敗毒を盛大にまき散らし、その汚染で俺たちを道連れにしようとする
只では死なぬと執念を見せるカオスドレイクに対し、マリエルが祈りの姿勢をとる
マリエルから発せられる微光と光の粒子
更には純白の天使の羽も舞いマリエルの周囲を神聖な空間へと変えて行く
その神々しさはどんな神話の一ページでも勝つことができない程の神々しさ
「神敵に天誅を下さん。神罰――【聖なる十字架】!」
そして祈りを終えたマリエルが手を天に掲げる。
その瞬間――
天から、十字の光の奔流が降り注いだ。
ゴォッ!
単なる光とは思えない、天界の正義そのものが具現化した裁きの光。
カオスドレイクが、周囲に広がった腐敗毒と共に一瞬で消滅した。
「...すごい」
俺は、呆然とした。
「これが...マリエルの本当の力...」
まるで最初にアピサルの力を目の当たりにした感覚と同じか、それ以上の衝撃を受ける
「ピィ...」
ピー助も、呆然としている。
「ふふ、これなら次の戦いは其方を守り切れそうね」
アピサルが、満足そうに微笑む。
「主様、いかがでしたか?」
マリエルが、変身を解いて戻ってくる。
「すごかった...本当に、すごかった!」
俺は、素直に感動を伝えた。
「ありがとうございます。これも、主様のおかげです」
マリエルが、嬉しそうに微笑む。
「でも...まだ足りない」
俺は、もう一つの石を取り出した。
【スキル絆石(下位)】
「ピー助、これを使おう」
「ピィ!?」
ピー助が、驚いたように俺を見る。
「お前は、何度も俺を守ってくれた勇者だ。この世界の強者とはいえ、ピー助が馬鹿にされるのは俺は我慢できない。少しでも力を取り戻して、勇者の力を見せつけてやってくれ」
俺は、石をピー助に向けた。
――パキィン
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【ピー助】
スキル【不屈の心】が解放されました
· 不屈の心: 諦めない限り、戦闘継続時ステータス向上
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「やった...!」
俺は、ガッツポーズをした。
心が折れない限り強化され続けるスキル
ピー助ならばどんな絶望的状況でも心が折れる事はないはずだ
「ピィィ!」
ピー助も、嬉しそうに鳴く。
俺たちは強くなれる、どんな逆境にも、絆の力で打ち勝てる
「...次は負けない」
俺は、皆を見渡した。
アピサル、マリエル、ピー助。
皆が、俺を見つめている。
「絶対に、勝とう。そして誤解を解くんだ。皆で平穏を手に入れて、灰の平原でコソコソすることなく、幸せに暮らせる日常を手に入れるんだ」
その言葉に、皆が頷いた。
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【アピサル】【マリエル】【ピー助】
との絆が深まりました
絆pt +9
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新たな力を手に次の戦いへ。
「じゃ、まずは腹ごしらえだな!」
俺は、戦の為に皆の腹を満たすため、食材をインベントリから取り出した
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第8話 了
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【10連ガチャ】『追放されたので絆ガチャ回したら、虚無界に封じられていた深淵女王がSSRで出てきて俺に依存してきた件』 竜将 @ryusyou1222
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