第5話 元モブヒロイン
街案内からしばらく経ち作戦はうまく行っていた。
と言うのも桜木は積極的に羽馬さんに声をかけることをしなくなった。
そして前より親密に佐藤さんとなっていたのである。
「萌、大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
今も職員室にノートを持っていくのにイチャコラしている。
この調子なら佐藤さんが負けヒロインになることはないな。これで負けヒロインは羽馬さんだ。
「武藤君?」
「うん?羽馬さんどうした?」
「えっと、教室でニヤニヤはしないほうがいいんじゃないかな?」
俺は自分の顔を窓ガラスで確認する。
「めっちゃ気持ち悪いな・・・・・・」
「うん。人様にお見せできない顔だったよ?」
「助かった。羽馬さん」
俺は泣きたい気持ちをグッと堪えて羽馬さんに礼を言う。
「で、何がそんなに嬉しかったの?」
俺は慌ててつい最近ネットで見て密かに喜んでいたことを言う。
「い、いや。欲しい本が出たからそれが楽しみで」
「へーどんな本?」
「えっと、なんと言うか・・・・・・」
言えねー!
だってライトノベルでしかもタイトルが隣の学校はラブコメ発生中!~蚊帳の外の俺だったが、主人公がゲスになったので後輩ヒロインもらいます!なんていかにもライトノベルな名前だから余計言えねー!!
「えっともしかしてHなやつ?」
「ちがうよ!?」
「じゃあ、どんな本?」
「隣の学校はラブコメ発生中!~蚊帳の外の俺だったが、主人公がゲスになったので後輩ヒロインもらいます!だ!」
俺はじゅげむのように早口で言った。
これなら聞き取れないだろ?
「え!?隣の学校はラブコメ発生中!~蚊帳の外の俺だったが、主人公がゲスになったので後輩ヒロインもらいます!なの!?」
「なんで聞き取れてる!?」
録音したみたいな感じだったけど!?
「私も読んでるよ!」
「はえ!?」
嘘でしょ!?
からかってるに違いない。こんな美少女がそんなラノベ全開作品読むわけがない。
「もう!ご冗談を。ふふふ」
「楓ちゃん!推し!」
「同じく!」
俺はバカだったこんな純粋な瞳の子が嘘をつくはずない!
「同志だね!」
「うん!」
俺たちは握手する。
「でも意外だな?」
「あ、えっとね。昔友達に勧められてね?」
なるほどこれほど万人に好かれそうな人だ。オタクの友達もいたんだろう。
「納得だ!さすが羽馬さん守備範囲が広い!」
「ふふん!」
めっちゃドヤ顔なんですが?
めっさ可愛いな!おい!
「今後のイチャイチャが楽しみで仕方ないんだよ」
「そうなんだよ!今後どんな風にいちゃつくのか楽しみなんだよね!」
なんか気が合うな。
なんとなく試したくなった。
「オメーオラのこと好きなのか?」
「オラ、オメー好きじゃないぞ」
ノリがいいな。
「ねえ、羽馬さん?」
「うん?」
「元オタクだったでしょ?」
羽馬さんはみるみる顔をから冷や汗を出していた。
「もしかして高校デビュー的な?」
「はい・・・・・・」
て、ことはメインヒロインに見せかけた元モブオタクヒロインなの!?
じゃあ、まだ安心できないじゃん!
「ちょっと智哉!急にとまらないでよ!?」
廊下で佐藤さんが叫んでいた。
桜木はボーとしていた。
その先には一学年上の制服を着た綺麗な女性がいた。
「おいおいおい!!」
まだ終わりじゃないのか!?
こうして俺の負けヒロイン幸せ作戦は続いていたと気付かされたのである。
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