本編
第1話 誕生、別れ、古の邂逅
視点:産まれし者
俺は異世界に生まれ変わったらしい。漠然と前世の記憶を持って
しかし、今は周りは見えないし思考もあやふやだ
でも父と母の温もりと声はきちんと聞こえている。今はそれだけで心が満たされている
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視点:マリナス
父はマルス、母はミリーナという名前みたいだ、互いにそう呼びあっていた。ちなみに俺の名前は2人の名前を混ぜてマリナスだ。よく名前を呼んでくる。
赤子は、生まれてから3ヶ月頃には目が見えるようになると言うが、俺は未だに父の顔も母の顔も1寸たりとも拝めていない。簡単に言えば、盲目で生まれてきてしまったらしい。
父も母も気づいているが、それでも俺を愛してくれている
気が早いと思うが、大人になったらこの2人には気が滅入るぐらいの親孝行をしたい。
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2人は冒険者だ。
と言っても、俺が産まれてからは小さな依頼しか受けていないそうだ。だいたいは俺は留守番で、2人の知り合いのところに預けられている。
生後5ヶ月_
今日、俺たち一家は町を出て外へ行く。定住する町を決める為だ
なぜ今いる町に住まないのかは簡単だ。ここは
父と母と共に在れるのならば、俺はどこへでも行きたい。
パパ、ママという度にこの世で最も幸せであると言わんばかりに喜んでくれる2人には末永く生きてもらいたいものだ。
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~旅立ちから3日目~
順調に道を進んでいるらしい。2日目に生まれた町からほど近い補給所件休憩場によったぐらいでそれほど突出したようなことはなかったみたいだまぁ、俺には見えないし、大人たちの会話を所々聞くことしか出来ないが、
まだ思考は冴えない。赤子だからというのもあるだろうが、それにしても殆ど意識の無い状態で何も見えないというのは精神的にきつい...
「お...!な......き...てん.........!」
おや大人たちが騒がしい
でも眠気が...
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視点交代
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視点:ミリーナ
どうして...
どうして人の作った道にダンジョンの転移陣があるの?
馬車で人工の道を走っていた私たちは突如現れた巨大な転移陣為す術なくダンジョン内に転移させられた
「ミリーナ、大丈夫、俺たちの門出には沢山の人たちが着いてきてくれた。きっとダンジョンを抜けられるさ」
「マルス...でもここがどこのダンジョンなのかも、何階層なのかも分からないのよ、本当に本当に大丈夫かしら?」
「......だが、この子マリナスの為にもダンジョンを出るしかないんだ、弱音を吐いてしまっては、成るものも成らないだろう。気を強く行こう。俺たちは最初の砦の冒険者なのだから」
「そうね、マリナスの為にも私たちは生きてここから出ましょう!ね、あなたたちも行くわよ!」
「おう!任せてくんな!ミリーナの嬢ちゃん!」
「マリナス君起こさんように気をつけなきゃなぁ!」
「俺らみてぇな浮浪モンに良くしてくれたあんたらん為なら命だって賭けてやるぜ!」
「命はダメよ!私たち全員で、ここから出るのよ!ふふ」
「「「だはははははは!」」」
笑い合えるうちは絶対に大丈夫。
上へ行く階段を3度登った
まだ地上へはつかない
「ここ、おかしいっすね、魔物が全然いないっす」
「確かに、ここまで2、3匹コボルトが居たぐらいだからな」
「このまま何も居なければそれで良いが、ダンジョンだ、そういう訳にも行かねぇ」
「マルスの旦那、
「いや何も無い、こうも何もないと不気味ですね、あ、階段が見つかりましたよ」
「どこらへんだ?」
「一個先の右の通路を曲がってから少し進んで左側の通路の奥だね」
「おし!いくぞ!」
「ミリーナ、疲れてはいないかい?」
「ええ、問題ないわ5ヶ月もすれば少しは体力が戻ってきたもの」
4度目の階段を上る――
「え、扉?」
上った少し先に扉があった。
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ダンジョンは地下へ地下へと続いていく。上へ伸びるダンジョンは存在しない
ダンジョンというのは各階層に階段は1つしか生成されない
どんなダンジョンでも共通していることだ
そしてもうひとつ共通していることがある
階層を移動するのには特に障害物はないが最下層だけは違う
ダンジョンの最下層に入る前には必ず
扉がある
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「俺たち上に上ってきたよな?」
「そうっすね」
「扉っつうのは1番下の層だけに現れるんだよな?」
「そのはずだな」
「で、今俺たちの前にあるもんは」
「扉、ですね」
「おいおいどうするよマルスの旦那...」
「上へ伸びている魔物の住む建造物は遺跡だけ、でも遺跡の扉なんてとっくに風蝕されている。それにここは階を移動するたびに植生や空気が変わるダンジョンで間違いは無い。だから地上へ、上へ進むしかないんだ、ミリーナ、俺たちが先に行く、きちんと後ろに付いていて」
「わかったわ、マルス無理はしないでね、みんなも」
「そんじゃ、開けんぜ、オメェら!武器構えとけよ!」
扉が開いた...
その先に見えたのは
骨
骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨
夥しい量の骨
そしてその中央にそびえ立つ
ギルドで記録されていた全長15mよりも確実に巨大な
ボーンドラゴン
ボーンドラゴンにはほぼ物理攻撃は効かない、
魔法だってB級の魔導師の冒険者が10人以上集まって全力でぶつけないと倒せない
でも
でも
その向こうには上への階段がある
階段があるのだ
距離は推定1km
散らばっている骨で足場も悪い
そこへ行くのに無防備に走ったらあのボーンドラゴンに殺されてしまうだろう
でも私たちは最初の砦の冒険者。
自分たちのことを浮浪モンと呼ぶあの人達だってB級以上の力がある
大きいとはいえ攻撃を避けながら行けるはず
「みんな、聞いてくれ」
「どうしたの?マルス?」
「階段の前に......魔法壁がある。そして部屋の中にはなんの装置も無い...あれを倒すしか無いだろう」
「まじっすか」
「きつすぎるぜ...俺たちの中に魔導師はミリーナ嬢ちゃんとモモロとカハムの3人しかいねぇ、、ほんとにきついぜ...」
「でも頑張るっしかないっすよね、っし!不肖モモロ!いくっすよ!」
「オレもやるしかねぇな...生きて帰るために!」
「そうね、帰りましょう!生きて!」
「俺たちも負けてらんねぇな、いくぞ!!!!!オメェら!!!!!」
「「「うおおおおおおお!!!!!」」」
そして
キィンッ ボォォォ!!
ドォォォォォォォォォォン!!!
カンッッ!
「げほっ」
「ヒュー......ヒュー......」
満身創痍
でもみんな生きている。
「ミリーナ......嬢ちゃん...アレ、使え」
帰還石のことだろう
「ソンホドさん...でも...こほっ」
「俺たちゃ良い...でもよぉマリナス君はどうすんでぇ、ここで死なす訳には行かねぇだろう...せめて嬢ちゃんとマリナス君だけでも地上に...マルスは...あぁ俺たちももうちっと踏ん張って後で地上に行ける時間稼ぐからよぉ......」
「でも...でも...!!」
「マルスがお前に言えって言ったんだよ...俺からもお願いだ...珍しいだろ?俺の願いなんて...ヒュー......」
「なぁ頼むよ......ミリーナ嬢ちゃん」
「......わかりました」
?
???
「...使え...無い」
「なんで、どうして!!」
キィンッッ
マルスたちはまだ戦っている
帰還石はダンジョン内で使うとダンジョンの入口の前に転移できる。
比較的安いとは言っても値の張る小さな帰還石が地上へ送れるのは人一人と、小型の獣魔ぐらいの大きさの生き物や鉱物など。
せっかく手に入れたものもダンジョン内に置いていってしまうことになるので使うものは余りいないが。
私とマリナスだけならば大丈夫なはずだ
なのに
「なんでよ、発動して...」
「この子だけでも地上に...こんな所で死なせたくない...お願い...神様.........」
帰還石が光る
輝く
その光は
マリナスだけを包み込んだ
「...こほっ............あぁ良かった...良かった......発動...した...」
光は、この子だけしか包んでいない
もし、このダンジョンが森の中や荒野にあったら...この子を救ってくれる冒険者は近くにいるのだろうか......?
「神様、どうかお願いします。この子を守ってくれる場所へ送ってください。」
「このダンジョンの入口では無い、この子を、マリナスを守ってくれる場所へ.........!」
その願いの言葉に反応するように帰還石の光が点滅する
「まぁ〜」
「っマリナス!」
「ごめんね、ごめんね、マリナス。ここを出られたらあなたをきっと見つけるから、見つけ出すから、それまで............」
元気に生きてね
マリナスが手を握り返してくれた
「私は...まだ戦える!」
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視点交代
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視点:マリナス
なにか悪い空気がする。だと言うのに思考はちっともはっきりしない。父と母が困っている気がするのに......でも今の俺にはどの道助ける方法は無い。
音が段々と聞こえてくる
「かみさ...ど...か...」
「この...しょ...」
『ママ』
母をよんだ
悲しい声で叫ぶ母を
「マ...ナス!」
母が俺の名前を呼んだ
「ご.....んね......めん......マリ......ここ.........みつ......それま......」
母はどうして謝っているのだろう
「げんきにいきてね」
うんいきるよ
俺は、俺の手を優しく握る母の手を
強く握り返した。
そして宙に浮くような感覚に包まれた。
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視点交代
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視点:原初のモノ達
それは光り輝きながら我らの森に現れた
それはニンゲンの赤子だった
それは母を呼んでいた
それは青い様な黒い様な色の髪をしていた
それはとても弱々しかった
それは小さくてとても愛らしかった
ひとつが人の形になってそれを拾い上げた。
「のう、人の子よお前の母はここにおらんぞ」
それは泣き出した
他のモノも人の形になって近くへよった。それが、怖がらないように
「かわいーねー」
「泣きやめ、泣きやめ」
「赤子はすぐ死ぬ、ほら泣きやめ」
「泣きすぎては死んでしまうぞ?」
それはまだ泣く
「人の子の赤子はどうやって育てる」
「誰か学んでこい」
「誰が行く」
「一番威圧感の無いやつがいい」
「一番人に紛れるのが上手いやつがいい」
「飯はどうする」
「確か前に乳のでんやつが動物の乳を飲ませるのを見たぞ牛かヤギだ」
「おおそれならすぐに用意できよう我が取ってくる」
原初のモノたちは小さな赤子を救いあげた
「この赤子の名はマリナスか」
「鑑定したのか?」
「名をつけたのに捨てたのか?」
「それは違う」
「よく見てみろ沢山の祝福の跡がある」
「本当だ」
「ほんとだねー」
「逃がされたのか」
「そうだろう」
「きっとそうだ」
「であれば」
「「我らが守ってやろうか」」
それは泣き疲れて眠っていた。
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別れのとこ泣きながら書いてました
最古の森の城 梣丫 @prqs
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