第15話
📘 第15章:零の回収
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🔷 【崩壊の部屋】
(言うこと聞くって……言ったのに……)
真羽の小さな嗚咽が、血の匂いと混ざり合う。
光生の手を握りしめながら、震える声で泣き叫ぶ。
「ママ……ねぇ……起きて……」
隣で、翔真は無表情で血の拭き取りを続けていた。
床に落ちた髪、飛び散った血痕、頬に付着した赤黒い液体を、丁寧に指で拭い取る。
「綺麗にしないと……綺麗じゃないと……」
掠れた声で繰り返す。
その指先は震えていた。
(完璧じゃないと、愛されない。)
そう思い込むように、何度も何度も同じ場所を拭った。
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🔷 【モニタリングルーム】
研究所第3階層、モニタリング室。
モニターには、静かになった部屋と、光生の亡骸を抱える翔真が映っていた。
「……主任。」
甲斐の声は低く震えていた。
「これが……理想の社会復帰……ですか?」
返事はない。
結城維人は、灰色の瞳でただ映像を見つめていた。
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🔷 【榊原の指示】
背後で扉が開き、榊原廉也が入ってきた。
「回収部隊を送れ。」
短く冷たい声。
部下が無言で頷き、タブレットを操作する。
【隠蔽回収班 – 特殊任務コード:Z-0】
榊原はモニターに映る幼い少女を見やり、口元を歪めた。
「可哀想にな。母親を失い、父親は殺人者だ。」
甲斐が奥歯を噛み締めた。
「……もうやめるべきです、この制度は……」
榊原は冷たく笑う。
「“やめる”?医者なら分かるだろう。これは国家の臓器だ。切り離せば、この国は死ぬ。」
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🔷 【回収】
黒服と防弾ベストを着た隠蔽回収班が、無言で室内に突入した。
翔真は抵抗しなかった。
ただ、光生の亡骸を抱き締めたまま、動かない。
「離せ。」
隊員が腕を掴むと、翔真は微かに笑った。
「……駄目だ。まだ、綺麗になってない。」
その声はどこまでも静かだった。
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🔷 【結城の冷徹】
モニタリング室。
結城は呟いた。
「……失敗ではない。」
甲斐が顔を上げる。
「何を言ってる……!これで何が……」
「NOISEの光は、消えた。」
結城の瞳には感情がなかった。
「これでいい。理想の結果だ。」
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🔷 【甲斐の覚悟】
甲斐は震える指で、カルテ画面を閉じた。
(辞めよう……この場所を。だが……)
脳裏に浮かぶ、今まで救えなかった改訂者たちの顔。
(……俺が去れば、何も残らない。)
そして、自分が辞めるときには必ず改訂される。
(記憶を奪われる前に……届けなければ。俺の“本当の記憶”を……誰かに。)
甲斐の瞳に、わずかな決意の光が灯った。
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🔚 第15章・完
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