第29話 神社②
しばらくするとママが私の部屋に入ってきた。
「アザミー、せっかくお友達が来てくれたんだから、おやつあるからリビングで食べちゃって」
そういえばママは私に何も聞かずにケイコちゃんを家に上げたんだっけ。待って、私普通に泣いていたり大声を出していたりしてたんだけど。
「ママ…その…」
「アザミ目元が真っ赤ね」
ママは笑いながらそう言ってリビングに戻っていた。恥ずかしい!何普通にケイコちゃん家に上げてるの!娘に確認に来てよ!まあ、確認に来てもらっても人に見せられる状態じゃなかったけど。
「ケイコちゃんその…家には何て言って入れてもらったの?」
「インターホンでアザミちゃんいますか?って聞いたら、アザミちゃん泣いてるけどごめんねー、って入れてもらえたよ」
ケイコちゃんは申し訳なさそうに説明してくれた。どこに泣いている娘に友達を会わせる親がいるのよ。
「アザミー」
リビングからママが私を呼んだ。早く来いって事だよね。
「ケイコちゃん、よかったらおやつ食べていって」
「ありがとう」
ケイコちゃんは了承してくれた。私は恥ずかしさのあまり、ケイコちゃんの顔を見られなかったけどリビングに向かった。リビングには椅子が二脚しかないから、ママはソファに座っていた。机にはケーキとコーヒーが置かれていた。ママは座りながら私たちに話しかけた。
「二人とも座って座って。えーっと、ケイコちゃん、お砂糖は自由に使っていいからね。」
「ありがとうございます」
私とケイコちゃんはママに促されるまま座った。ママの視線が気になったけど、あえて無視して私はケイコちゃんに話しかけた。
「ケイコちゃん、食べよっか。ごめんねこんなに私に付き合わせちゃって」
「ううん、むしろ私の方こそケーキまで頂いちゃってありがとう」
「ねーえー」
私とケイコちゃんが話をしているとソファから声が聞こえた。私はため息をついて返事をした。
「何?」
「最近アザミが恋する乙女の顔をしながらお出かけしてるのがケイコちゃん?」
私は思わず咳き込んだ。私は急いで否定した。
「違うよ!…ってか恋する乙女の顔って何!」
私の言葉を聞いてママはつまらなそうな顔をした。
「何だー。え?じゃあケイコちゃんは遊び?」
「そんなんじゃないから!友達!」
ママは私が動揺している様子を見ながら笑っていた。ケイコちゃんを見るとケイコちゃんは苦笑いをしていた。
「ケイコちゃんごめん…こんな親で」
「こんな親とは何よー」
遠くから声がしたけど私は無視した。ケイコちゃんは何も言えないからか、ケーキを食べていた。ママはソファから立ち上がり、机のそばまでやって来た。
「どうしたの?」
私が聞くとママが微笑んでいた。
「アザミの友達が家に来るなんて初めてだからママは嬉しい」
急に真面目な話になり、私は照れてしまった。
「私も急に押しかける形になってしまってすいません」
ケイコちゃんがママに頭を下げた。私はすぐにケイコちゃんに言った。
「ケイコちゃんは悪くないよ!私のために来てくれたんだから」
ママはケイコちゃんを見て話した。
「ケイコちゃん気にしなくていいよ。私はいつでも歓迎だからね」
「ありがとうございます」
何だかんだ、ママには心配してもらってたのかな。
「まあ、結婚挨拶ならもっとよかったんだけどね」
「もう!結局そういうことを言う!」
私は大声になった。結局私で遊んでるだけ?ママの顔を見るとまた真面目な顔をしていた。
「ケイコちゃんごめんね、アザミって片親だからって遠慮して私に何にも相談してくれないの。だからアザミが相談できる友達がいて安心した」
ママがそんな事を思っていたなんて。
「でも、インターホンを鳴らしたのがケイコちゃんでびっくりしたのよ。この子好きな子変わったのかと思ったもん」
「え?」
ケイコちゃんが不思議そうに声を漏らした。私はママに強く言った。
「だから何ですぐそういう話になるの!ケイコちゃんは友達だし女の子だよ!」
「でもアザミ、今もサクラちゃんが好きなんでしょ?」
「え!」
普通の顔をして話すママに私は声を上げた。
「な…何で…」
「だって、高校の時から、サクラちゃんを見るアザミは恋する乙女の顔をしてたわよ。流石にわかるって」
私は困惑を通り越して落ち込んだ。私ってそんなにわかりやすいの?私の様子を見てママはケイコちゃんに話しかけた。
「多分この子も私に言いづらいことがたくさんあるだろうから、よかったらこれからもアザミの相談に乗ってもらえたら嬉しいな」
「アザミちゃんが相談してくれるなら私は嬉しいです」
ママとケイコちゃんは顔を合わせて笑顔になっている。
「アザミはママに相談してくれてもいいんだけどね!」
「…うん」
私は下を向いたまま返事をした。私はママに隠し事はできないんだろうな。その後もママとケイコちゃんは楽しそうに会話をしていた。その様子を見て私も元気が出た。
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