魔王とか勇者とか姫とかが出てくる掌編れくいえむ
りんごが好きです(爆音)
勇者「そうだ限界までバフ掛けしてみよう」
勇者「そうだ限界までバフ掛けしてみよう」
「何これ?」
勇者は戸惑った。
世界の命運を賭けた魔王との戦闘中―――激しい命の取り合いの最中、宿敵たる魔王の頭上にある表示が出現したからだ。
《通信障害発生中 時間を置いて、再度お試しください》
試す? 何を試すと言うんだ。それに通信障害って何だよスマホじゃあるまいしぃ……
「まあ仕方ない。硬直した魔王を魔法で攻撃しても、何ら反応を示さないしな……日を改めるか」
***
〜次の日〜
「おーい魔王〜通信障害は治ったかぁ〜?」
魔王の玉座付近で硬直しているハズの魔王は……っと。
―――あぁいたいた。いた、けど……昨日と同じ体勢のままで硬直してるな。一体どうしたってんだ?
「おーい魔王起きろよ。いい加減にしないといくらフェアでスポーツマンシップに乗っ取る俺とて、急所は外さんぞ」
一向に起きる気配がないので、試しに魔王の腕に弱攻撃を繰り出してみた。すると、空中に見慣れた《-33!》というダメージ表示が。
俺は、ここで恐ろしいことを思いついてしまう。
無防備な魔王のウィークポイントたるキンタマに、最大練度最大速度で、最高レベルの魔法を射出した場合―――どれほどのダメージ数値が出るのだろうか、と。
考えてみてほしい。皆も、幼いころ気になったことがあるはずだ。
―――ロールプレイングゲームで、最高レベルまで育てた自分のキャラが出し得る最高火力は、どれ程のものなのか……と。
レベル99の自分の愛用キャラで、初めのダンジョンまで駆け戻り―――
バフを最大まで発動させ、クソ弱い序盤のモンスターに放つことで生まれる、相対的に威力が上がった遠慮のヒトカケラもない攻撃は、どれ程の威力なのか―――と。
ゲーム好きな君たち少年において、その興味発現の場面は深夜1時の羽毛布団の中だったのかもしれない。だが―――
勇者たる俺にとって、その好奇心発動の場面は決戦の最中たる今である。
「えーっと……まずバフ掛け魔法詠唱して《滅びの森》最深部にてドロップしたSSSレアアイテム《龍のオーラ》を《ドリナルクス・ブレード》の先端にだけふんだんに使って、両足の重い装備を外してスピードを強化して、必殺技を発動して、あえて自分の体力を1まで削ることによってスキル《我慢》を発動して攻撃力を一時的に三倍にして、その辺に落ちてるモンスターのうんこを踏むことでスキル《悪運の申し子》を発動してクリティカル発生率を三倍にして、そのうんこを三回連続で踏むことで……」
ごめん魔王。
「最後に、魔王最大のウィークポイント(キンタマ)に狙いを定めて」
好奇心には勝てない。
「必殺技発動。ディアレート・レクイエム」
次の瞬間、俺が限界までバフ掛けした身体による、隙だらけの突進技が炸裂した。通常なら―――機敏に動き回る魔王相手に発動しようものなら、逆にこちらが痛手を負ってしまうであろう弱点だらけの技を放つ。
隙だらけ―――諸刃の剣の必殺技も、魔王が《通信障害発生中》でフリーズしているので問題なく発動可能だ。的中率など気にする必要もない。
蜃気楼を発生させながら、俺のブレードが魔王のキンタマへと真っ直ぐに―――ひたすら真っ直ぐに向かい、ついに魔王のキンタマへ炸裂―――
そこに表示されたのは―――
《-99999!》
限界ギリギリのダメージ表記に続いて、通信障害のラグから解き放たれた魔王の断末魔が響く。
以下は、世界を恐怖に陥れた最悪の魔王(56歳 男性 本名 : 近藤 ひさし)が死に際に放った叫び声原文ママである。
「ふっふうああああああああああああん♡」
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