三月のジンクス

藤田大腸

三月のジンクス

 三月は何かと祝い事が多い時期です。昇進・栄転、入試で合格、卒業、就職などなど、様々なお祝いをする機会があるでしょう。


 ただ私の場合、今までの人生を振り返ると三月は祝い事よりも弔事の方の思い出が強いんですよね。なぜかというと、親戚が亡くなる時期が三月に偏っているのです。しかも私の人生の節目のときに限って。


 小学校三年生の頃、今の実家に新しい一軒家を建てて引っ越した直後の三月には母方の祖父が亡くなりました。


 高校を卒業した直後には父方の叔父が亡くなりました。


 大学を卒業した直後には父方の祖父が亡くなりました。


 今の会社に就職を決めた直後には母方の祖母が亡くなりました。


 会社に大きな組織の再編があり、その年いっぱいで別会社に移籍が決まった年の三月には父方の祖母が亡くなりました。


 特に印象に残っているのが母方の祖母が亡くなったときでした。実は私、長い間非正規社員で働いていたのですがようやく正社員としての就職が決まり一安心といったところで、就職祝いに紳士服店まで新しいスーツと靴を買いに行ったんです。そのとき礼服とセットで買うと割引だったので、今後どこかで必要になるだろうと思い一緒に買いました。


 祖母が亡くなったのはそれから一週間経たないうちでした。前から心臓が弱っていて長くは持たないかなと言われてはいましたが、様態が急変して入院して間もなく息を引き取りました。まさか入社式で使うスーツよりも先に礼服を使うことになろうとは思っていなくて、母親からは自分の悲痛を和らげようとしてか「あんた、買っといて良かったなあ」と不謹慎交じりの冗談を言われたものですが、就職祝いの礼服姿を祖母の霊前に見せることで就職決定の報告になったのは良かったのかなと思います。


 今は両親も年老いて、お世辞にも健康とはいえない体になっていますが私にはまだもう少し先があるわけで、何度か人生の節目、祝い事を受ける余地が残されています。反面、その折には三月に両親の身に何か起きるんじゃないかと不安になっているのも事実です。

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