言祝ぎの慣習 【祝いむすめ】について
はすみらいと
【祝いむすめの■■】
■「祝いむすめ」あるいは「祝りむすめ」について
「ああ、あれな」と誰もが口を揃えて呟く。その地域では有名であるらしい。
稀に産まれてしまう存在なのだそう。彼らの口ぶりから鑑みるに、それは望ましいことではないのだろう。かといって、疎ましがるわけにもいかないらしい。
「祝りむすめ」「祝いむすめ」は産まれながらに「祝りむすめ」「祝いむすめ」。それ以上でも以下でもない。
彼女らは生まれながらにして、その本質を遺憾なく発揮する。予知にも似ている気がしないわけではない。ただひとつ、妙な節がある。
まずひとつは生まれたその時から発揮するということだ。であるならば生まれながらにして言葉を話せる。もしくは文字を書けるということ。
そういうことになるが、それは事実可能であるのか?
ふたつめは内容によってはそれを果たして祝いと呼べるだろうか? ということだ。彼らの話を聞く限り、死さえも祝いとしている内容が散見された。
これじゃあまるで──。
とにかく、以下は彼らからの伝聞であるため、信憑性に欠けること留意されたし。
親父の代の頃のことだそうだ。
あくまで俺の体験ではないからほんとのことは何もわからない。ただよくその話を耳にタコができるほど聞かされた。
当然「祝いむすめ」は、婚姻やその手についての言及する内容も多かったらしい。
■■さんの家の■■さんが■■家の■■さんと結婚するとかそういう内容だったときく。
まあ、噂で付き合いがあるないはわかるだろうに予見と呼ぶのもなあ。と当事者の親族や知人の中にも思っている人間はそれなりにいたらしい。
──では何故、信仰されたのか?
まあ、中には彼女らに予見されない、言及されない者も時々いたわけさ。それだけならあん人らにも、予見できない時もあるのかと思うだけ──だったんだがな。
彼女らに祝われた者とそうでない者には、どんな差が生まれたのだろう。地元の人間もそう思うことはあるんやなぁ。
いくつかその手について記録されたもんが、あったんやと。昔のじいさん、ばあさん連中がそないなこと聞いたら「なんと罰当たりな」言うたやろうけど。
記録の記載されたノートん中には「祝いむすめ」「祝りむすめ」やなく、「件の母」とか「人魚」だとかテキトーな名前付けちゃあるもんもあったんやとか。
「【件の母】について」
そう記載されたノートを見た人から親父は聞いた、少なくともそう言うとった。眉唾物や思うけど既にその手のノートはなくのうたらしいから、もう知る術なんぞないはなあ。
そこには「祝いむすめ」の祝いがあった家とそうでない家を比較して、ぎょうさんな、何ページも書かれてたらしいわ。
仮にA家とB家としとかせてくれるか?
まあそもそも覚えてないんやけどな、ハハッ。せやけど、覚えてたとしてもこの辺は狭いからな? 本人にたどり着いても困るわけや。そういうことやから、まあ、その辺は勘弁してくれなあ。
A家
予見
■■さんと■■家の■■さんと婚姻結ばれる。
結果
まもなくして、そのようになる。
B家
予見
とくになし
結果
婚姻が結ばれる前に不幸に合い、破談。
といった風に続いていくんやけどな。まあこの辺は大したことやなくてな。問題はもうちょい後のページから散見されたらしい。
A家
予見
■■さんと■■さんの間、お子が産まれる。
結果
間もなくして産まれたが、5つで亡くなる。
B家
予見
ぎょうさん亡くなる。
結果
一家心中。長男によるもの。
ああ、そや。
言い忘れてたけど必ずしも同じ家やないねんで? あくまでわかりやすくA家とB家にしとるけど、てかキリがないからな。ただ中には同じ血筋のものもあるにはあったとか。
A家
予見
なし
結果
子どもが産まれたが、不具。大層悲しみに暮れていた奥さんは境内で行方不明。旦那は気狂い。後に血筋が途絶える。
B家
予見
■■家との良縁にて結婚。──の子が産まれる。【──は存在しない名字だったとか、近くの祠の名前と同じような記憶あり】
結果
■■家との結婚はなく、別の■■さんと結婚するも、子どもが3つの歳に■■神社で神隠し。未だに見つからず。
A家
予見
■■さんが大往生の後に亡くなる、素晴らしい。
結果
実際には■■さんとは別の親戚が亡くなる。【心臓発作】
B家
予見
なし
結果
■■家の奥さんが病にて亡くなる。後を追うように旦那さんが一週間後亡くなった。が、特に大病の類いではなかったようである。
A家
予見
めでたい【要領を得ず詳細なし】
結果
生まれた子どもが「祝いむすめ」。当代の「祝いむすめ」病死
B家
予見
なし
結果
B家の長子の祖父が亡くなる。長子は隣近所の■■家の子どもを殺した後に自害。【理由は不明。両家の仲は良好だったそうだ、またそうなる要因や前兆はなかったそう】
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