嘘つきが守る橋

残間 みゐる

第1話 早朝、橋にて

俺は落ち葉拾いをしている。

朝早くからだ。


どうしてこんな時間かと言えば、予約者が来るかららしい。

“らしい”というのは、俺自身もよく分かっていないからだ。

ただ、この橋には、朝早くに来る客がいる。

それだけは決まっている。


橋を渡るだけで二万。

正直、意味が分からない。

観光地でもないし、近道になるわけでもない。

ただ川に架かった、霧の出やすい橋だ。


落ち葉を集めながら、俺は何度も橋の下を覗く。

川は静かで、流れも緩い。

それなのに、朝の霧だけがやけに濃くて、向こう岸が見えなくなる。


清掃が終わると、詰め所に戻る。

机の上には、蝋燭とマッチ。

いつも同じ場所に置かれている。

何に使うのかは聞いていないし、聞かない方がいい雰囲気もある。


俺の仕事は単純だ。

予約者が来たら、用意されたものを渡す。

それから、橋へ向かう背中を見送る。

それだけ。


たまに、老婆が現れる。

いつの間にかそこにいて、詰め所や橋をゆっくり見渡し、何も言わずに去っていく。

話しかけられたことは、ほとんどない。


この橋で何が行われているのか。

なぜこんな時間なのか。

なぜ二万もかかるのか。


俺は何も知らない。

ただ、今日も予約者を待っている。




___________________________________________

いいね!・コメント・フォロー・評価よろしくお願いします!

応援5で次の投稿をします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る