芋かりんとうくん達、お菓子君達から見たアラサー社長さんとJK少女の恋事情って奴かな?
かず斉入道
第1話 みんな僕のことを知っているかな?(1)
うわぁっ! いやだ! そこの人、僕のことを食べないでおくれよ~~~! 頼む~~~! お願いだよ~~~! 見逃してくれよ~~~! 頼むから許して~~~!
僕はね、今日もさ、誰かさん達のお口に入り──お口の中で『カミカミ』と身体中に歯を当てられ、身体を砕かれていくからね、今日もさ、僕は絶叫あげながら、僕を『ムシャムシャ』と美味しそうに食べる人物へと嘆願をするのだ。
だって僕の身体が痛くて仕方がないからね、僕芋かりんとうは、今日も毎日の恒例行事として悲痛な顔! 表情! で絶叫を吐くのだ。
それも僕の顔は激痛のために歪んで変顔……。
まあ、よそさまが傍から見れば、自分のお腹を押さえつつ腹を抱え、『あっ、ははははははははは』と高笑いをしたくなるほどの変顔で僕、芋かりんとうはね、自分をお口に入れたお客さまへと。
『助けて!』、『もうそれ以上カミカミしないで!』、『僕の細くてスマートな身体が痛くて仕方がないから』と。
僕はお客さまに嘆願と命乞いをするのだけれど。
お客さまの方はこの通りでね……。
「うん、美味い!」
「美味しい!」
「この微妙な甘さ加減がいいだよな~」
「まさに芋~! 芋、芋さまだよね~!」
「芋かりんとうは」と。
お客さまたちは僕のスマートな身体を『カミカミ』、『ペロペロ』しては異国のお客さま達も。
「OH~!」
「GOOD~!」
「DERISYS~!」
「お兄さん、これ、おいしいね」
「甘くて美味しい、あるよ」
「うまうま」と。
僕達の社長……。アラサーになってもまだ彼女一人もいないおじさんへと、僕【芋かりんとう】が美味しいと絶賛して、
「これ、いくら?」
と尋ねるから。
家のアラサー社長は英会話ができないから。
「──1000円! 1000円! 五袋! 1000円!」と。
自分の掌を広げ──『ファイブ! ファイブ!』と、日本人だろうが、異国の人だろうが、平等にジェスチャーを加えながら販売する。
「OH~、五袋1000円ですか~? 安いね~、お兄さん~、私、買います」と。
日本人の麗しいお姉さんだけではなく、異国のお姉さん……。世界共通で美味しいとマジで言われ、絶賛され続けている僕ちゃんだから……。
僕も異国の麗しいお姉さま達が、僕【芋かりんとう】を食したいと言うからね。
僕もお星さまになる覚悟ができたから。
「僕はこれからお客さまに食べられ、胃の中へと進み、冥府へと旅立つから。みんな、さようなら……。また会いましょう……」
僕はアラサーおじさんが商いをするための販売台の上で、丁寧に並べられている他のお菓子仲間達へと、にへらと笑いながら白いハンカチを振りつつ『サヨウナラ』、『あばよ』、『たっしゃでな』と、今日も悲しく、切なく告げる。
◇◇◇
「OH~、ありがとう~! さんきゅぅね、お姉さん、愛している~、LOVE~、LOVE~、ありがとう~」
その後はスマートフォンで「ハイ、チーズ」と、家の社長……。
まあ、アラサーのおじさんなのだが、僕が死を覚悟して仲間達と「ばいばい」、「サヨウナラ」をしている最中でもこの通りだ!
観光にきた国内や異国の麗しいお姉さん達と嬉しそうに、旅行の記念にと団体写真やツーショット写真まで撮ってもらい歓喜──! 上機嫌──!
でも僕【芋かりんとう】やその他のお菓子君たちは……。
「ばいばい」
「さようなら」
「元気でね~」
「また胃袋の中で会おうね~!」
「うん、また同じお客さまが購入してくれたらね」
「うん、そうだね」
「悲しい」
「切ないね」と。
この後もアラサー男の社長さんは異国の色々な麗しいお姉さまたちと御機嫌良くツーショットを撮影したり、イ○スタグラムやL○NEのアドレス交換などして小躍りするぐらい喜び、楽しんでいるけどさ。
僕【芋かりんとう】やその他のお菓子たちは、お客さまたちが、どれを自分の胃袋の中にいれようか? と品定め……。
そう試食……。
「ベリー、ベリー、GOODー!」
「デリシャス、デリシャス」
「うま、うま」
「美味しい、ある~」
(6)
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