第3話
景色が変わった瞬間、目の前を何かが横切った。
どうやらテレポートは成功したようだ。
ほっぺが濡れているような感じがする。
触って確かめてみると血だ…「ヒエッ…」さっき掠った奴の爪か、これはまずい!
あの宇宙人に乗せられてここまで来たのはいいものの、いざ目の前にすると迫力があって怖い。
なお、でかい火グマは狩りを邪魔されてぶちぎれている模様。
考えている時間もなく、奴はこっちに突進してくる。
「来ないでくれ!」と念じながら手を突き出す。
その瞬間、こちらを攻撃しようとしていた火グマは、まるで見えない力に押されたかのように吹っ飛んだ。
自分でも信じられないが、サイコキネシスが発動したのだ。
「これがサイコキネシスの力か…」
でかい火グマは後ろの木をぶち抜いてさらに地面に叩きつけられた。
火グマはよろめきながら2本足で立ち上がると、咆哮を上げて気合いを入れる。
そして両手を大きく広げた。
火グマの周りが熱くなり空気が揺らぎ始めた。
その両手の間に小さな火の玉が現れ、それが徐々に大きく育っている。
咆哮にビビった俺の心臓は激しく鼓動していたが、あれを撃たせるわけにはいかない、相手が溜めている今がチャンスだと思い慌てて次の行動を考えた。
何か使えるものはないかと辺りを見回すと、草の入っている籠を見つけた。
「これだ」
サイコキネシスで籠を操り火グマの顔に被せる。
火グマの集中力が途切れたせいか、火の玉は霧散していった。
籠のあった後ろに女の人が尻餅をついているのを見つけた。
さっき千里眼で見た女性だ。
そして腰のあたりにナイフらしきものを身につけているのを発見。
これは使えると思い、女の人は口を開けてこちらを見ていたが、お構いなしに「これ借りるよ」とナイフを取り出した。
「うまくいってくれよ…」
俺は祈りながら火グマに向かってそのナイフを投げる。
「当たれ!」
その瞬間ナイフが吸い込まれるように軌道を変えた。
ナイフを操り籠を取ろうと暴れている火グマの首に突き刺した。
火グマは暴れながら倒れ、しばらくもがいていたが、やがて大人しくなった。
「ふぅ…うまくいったか?」
おそるおそる近づいて、火グマが死亡したかを確認する。
そこらへんに落ちている木の棒でツンツンしてみるが、ピクリとも動かないし息もしていない。
「これでもう大丈夫だろう」
ナイフを回収して女の人に「これありがとう」と渡すと、女の人はナイフを受け取り、「あっ、ありがとうございます。」と感謝の言葉を述べた。
「大丈夫?けがとかしてない?」
「私は大丈夫です。それよりあなたがケガをしてますよ」
興奮状態で忘れていたが、頬を切られていたのを思い出した。
「あとでちゃんと手当てしますので、とりあえず今はこれで傷口を抑えていてください。」とハンカチを渡された。
「私は魔石を回収してきますね。」
「魔石?」
借りたハンカチで頬を抑えながら彼女を見ていると、でかい火グマの中から綺麗な石を取り出していた。
「はい、どうぞ。これが魔石です。」
「この近くの村に私の家があるので、そこで手当てをしましょう。じゃあ行きましょうか。」
俺は彼女について行った。
異世界転移超能力者 つある @RX-24
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