転校生へのインタビュー!

――おはようございます! あなたが新しく本校に転校されてきた神宮凛子(かみみやりんこ)さんですか?


「はい。私が神宮凛子です。よろしくお願い致します」


――宜しくお願い致します。早速出会った男子生徒達は何人もが声を挙げるほど、美しいですね。私の友人たちも神宮さんのことを褒めていましたよ。とてもきれいなお人だって。何か秘訣はあるんですか?


「それは分かりません。血ですかね。私の母も祖母も綺麗な人なので。


 記事の下に写真で乗っていたのは、絶世の美女だった。

 最初に目についたのは、風にたなびく長い黒髪だった。太陽の光を吸収し、輝いていると思うほどに美しい肌は、白魚のように透き通っていた。鼻筋は通っており、唇は紅が咲いたように赤い。写真では黒真珠と見間違うような大きな目がこちらを見ていて、にっこりと笑っている。そんな写真だけで何人の男の心を掴んだだろうか。

 どの男子も、いや、数人の女子でさえもうっとりとするような笑顔だった。彼女が笑顔になるだけで、周りの空気が澄んでいるように錯覚するほどに。別次元の女性の写真がそこには映ってあった。。

――それでは、神宮さん、簡単に自己紹介をお願いします。


「私の名前は神宮凛子です。この度は家庭の事情で遠く離れた土地から、この幽現市へと来ることになりました。まだ至らない点が多いと思いますが、この記事を見ているみなさんこれからよろしくお願いします――」


 ――この高校を選んだのには理由があるのですか?


「山が近いからですかね。私は山育ちなのですが、やはり街中よりも自然に近い方が落ち着くので。動物も多くていい所ですね」


 ――そうですね。伸び伸びと過ごせているように思います。では質問を変えますが、神宮さんはどこかの部活に入る予定はあるのでしょうか?


「剣道部か柔道部に入ろうと思っています。家が武道を嗜んでおりまして、私も幼き頃から練習を行っていたのです。どちらも自信があるのでどっちにも入りたいのですが、まずどっちがおすすめか聞こうと思います。どちらがいいと思いますか?」


 ――どちらも強豪と聞くのでおすすめですよ。私達も何度かインタビューを行ったことがありますので。剣道部では主将が、柔道部では一年生のエースが強いと聞きます。ただどちらも男子の部しかありませんが、神宮さんは本当に入部するつもりなのでしょうか?


「はい。入ろうと思います。どちらも仮入部してみて、よかった方に一旦は入ろうと思っているんです。また後日体験に行きますので、皆様優しくしてくださいね」


 ――男子生徒の諸君、よかったですね。早速転校生と接点が出来るチャンスが来ましたよ。これは剣道部か柔道部に入るいい機会なのではないでしょうか。さて、話を変えますが、この町はあまり名産と呼ばれるようなものはございませんが、何か気になることやものなどはありますでしょうか?


「噂で聞いただけなのですが、私はこの町に流れている失踪事件が怖いと思っています。最近は何かと物騒ですから。特に田舎ではそのような事件はなかったのですが、この町で何件か起きているようで。家族の都合でこの町に来たのですが、両親が帰ってくるのは夜遅く、襲われた時はどうしようかと思います」


 ――確かにそれは怖いですね。同じ女性の身なので、私にもよく分かります。


「これは私が新しく借りた大家さんから聞いた話なのですが、女性の失踪者がいたらしいです。その人は笑顔が魅力的だったそうで、近所でも評判のいい子大生とのことなのです。この街から一つ離れた大学に通うために、わざわざ下宿していたらしいのです」


 ――確かに近くには大学も多数ありますもんね。


「ええ。最初は勉学にアルバイトに、またたまに彼氏らしき誠実そうな男性と歩くこともあるような理想的な大学生活を送っていたらしいんです。友達もすぐに出来たそうで、可愛らしい女性グループで見かけたこともあると聞きました」


 ――そんな女性に何かあったのですか?


「そうみたいなんです。最初は化粧をあまりせず地味な人だったらしいんですけど、だんだんと化粧も派手になって、髪も金髪になったらしいです。最初は大学デビューしたのだと思ったんですけど、途中からは横にいる男たちも金髪だったりピアスだったりと派手になっていって、服も露出が多くなり、鞄もリュックサックだったのがブランド物のハンドバックになっていったらしいです」


 ――それは凄い変化ですね。


「私もそう思いました。ここのような都会では皆そうなるのかと思ったんです。ただその女性が不思議だったのは、そのお金をどこから手に入れたのかが分からないということなんです。大家さんや近所の人は夜のお仕事か景気がいい彼氏が出来たのか、と予想していたんですけど、どうやらそんなことはなさそうなのです」


 ――何故、それが分かったのですか?


「どうやら毎日近所をよく歩いていたかららしいんですよ。本人は美容のためといって、度々夕方や夜に目撃情報がありましたから。どうやら毎日同じ散歩コースを2時間ほどぐるぐると回るんです。大学にも行っているようなので、そんな生活をしていたら夜にはとても働けませんよね」


 ――それだったら本人が凄く頑張ったんですね。羨ましいです。


「それならいいのですが、どうもおかしいのです。安いアパートに住んでいるのに全身ブランド物。男と一緒にいるのに自分の部屋に行くわけでもなく、二時間ほどの散歩に付き合わせる。車でのお迎えは見たことがないらしくて、大学へは自転車。なんかちぐはぐで、でもどんどん綺麗になっていったらしいんです」


 ――綺麗に、ですか?


「はい。一重だった目は二重になって、短かった髪は腰ほどまで長くなって、海外の方の様にほりは深くなって、身長もいつの間にか十cm以上伸びていて、肌も段々と透き通るように白くなっていったらしいんです。まるで女性がのぞむようなものを順番に手に入れたような。そんな感じなのです」


 ――それはさぞモテたでしょう。


「ええ。ある時から、男の人の目を離さなくなったらしいです。ですが、そうなったのを機に、この町から忽然と姿を消した、とのことでした。アパートに残った荷物はそのままで、大家さんも家族に連絡をとってみても、その家族が驚き悲しんでいたほどで」


 ――失踪、したのですか?


「はい。息を飲むような美人になってから失踪したらしいのです。町を出歩いたら誰もが記憶に残るほどの方が、いつ消えたのか分からないらしいです。それまでは頻繁にみんなが見ていたのに。それが、ある日を境にぱたっとなくなった。そんな方がどこに行ったのか、ご存じでしょうか?」


 ――いえ、私たちはその事も今知りましたので、分かりませんが……そんな事件は恐ろしいですね。


「はい、そうなんです。綺麗だから誘拐にあったのか、それとも借金をしていて何かの事件に巻き込まれたのか、はたまた男の人に騙されたのか。いずれにしてもそんなに綺麗な人なのですから、ただ消えたとは誰も思えないようで。引っ越してきたばかりですが、この町に住むのに少し怖くなりました。


――私も怖くなりましたね。そう言えば、神宮さんも本当にお綺麗ですね。


「ええ。そうかも知れませんね。でもご心配なく。私は生まれた時から綺麗だったので、なったわけではないので。嘘だと思いますか?」


 ――いえ、そんなことは思いません。

 早くその綺麗な方も見つかるといいですね。


「私も本当にそう思います」

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