愛から逃げます
未熟者
第一話
「うーん...ちょっと疲れたなぁ」
俺の名前は愛唐 早逃(あいから はやと)
どこにでもいる高校生だ。
勉強も普通、運動も普通。どこを切り取っても特色が浮かんでこない、そんな一般高校生だ......と思った?
実は悩み事があるんです。
どんな悩みかは見てもらえればわかると思います。
早逃は完全には閉まりきってない自室のカーテンを勢い良く開けた。
そこにはぽわりと輝く月......を遮るように窓に顔を貼り付けている長い金髪の女の姿があった。
「あっ...やべ...」
女は音を立てることなく早逃の視界から逃げた。
「忍者かよ」
と、まぁこんな感じです。
家にいても学校にいてもどこを歩いていても彼女たちがいるんです。
さっき窓に張り付いていたのは新条 琴音(しんじょう ことね)さんだ。
新条グループの一人娘で幼い頃から色んな習い事を習わされていたらしい。
ピアノに書道に柔道に、幅広い分野を会得してきたとか何とか。
もちろんマナーも手厳しく躾られてきたはずだ。
それなのに...
「自由にさせすぎだろ!」
執事さん?あなたのお嬢様は、人の家の窓に張り付いたんですよ?何をしているんですか?躾がなってないですよ?
勉強をしている間もずっと視線を感じてたんですよ?
勉強を始めたのは8時くらいで時計の針は現在、10時近くを指していた。
え!?2時間くらいも見ていたってこと!?
怖すぎるんだけど...!?
てか、運動神経おかしいでしょ、前々から思ってたけど!
おっと、失礼失礼。俺としたことが取り乱してしまった。
1回冷静になってみよう。
勉強中はずっと琴音さんの視線を感じていた。
それは前方だけから感じていた。
けど、他にも感じたぞ!
後方、右斜め、左、真上、ベッド下......って
「多すぎだろ!」
最低でも5人!?え?この家セキュリティ無さすぎ?スケスケじゃん...
と、まぁこんな感じです(二回目)
ここも厄介な点で彼女たちは奥手な子が多い。
一室に僕一人だけ?でも彼女たちは姿を現さないし、接触もしてこない。
来るなら堂々と来いよ!と言いたいけどそれはそれでなんか怖いから言いたくない。
早逃は辺りを見回してから言う。
「あのー...今日はもう寝るので帰ってくれませんか?」
早逃の発言は彼女たちにしっかりと届いた。
お、気配が無くなったな。
こういう所は律儀なんだけどなぁ...
まぁ、今日はもう疲れたし寝るか...
「おやすみなさい」
早逃は先月発売された『絶対安心眠るくん』と言う
寝袋に身を包んだ。
『絶対安心眠るくん』とは?見た目は普通の寝袋だが保温性、吸水性、その他諸々の性能が高く、使用者の安眠を約束するよ!
その他にもすごーい技術で災害の中でも耐えれるようになっているよ!すごいね!
寝袋は早逃を包んでから数秒後に顔を遮るように膜を張った。
寝袋まるでエイリアンの卵のようだったがそこが逆に人気らしい。
いやー...安心して眠れるな...
おやすみ!世界!
早逃はすぐに意識を手放した。
――――
眠る早逃の姿を窓から覗く数人の影があった。
「あぁ、早逃くんの寝顔がぁ...見れないよー...」
「ダメね...あの寝袋さえなければ...」
「うぅー...早逃様ぁー...」
そこには新条の姿もあった。
「早逃くん...絶対に私のモノにしてみせるわ!」
その瞳には静かながらも熱いナニかがあった。
そして彼女たちと早逃の駆け引き(一方的なもの)も明日も続くのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます