朝早く、真幸は起きていた。


 起きたはいいものの、どうしようかと考えていたが、部屋をノックされる。


「おはようございます。真幸くん」


 真幸がドアを開けると、御影が立っていた。その手には服を持っている。


「真幸くん、よく眠れたかな?」


「はい! とても!」


 その返事を聞いて御影は笑う。


 そして、手に持っていた服を渡してきた。


「こちらがこの家での使用人が着る正装だよ」


「おぉ……、これが」


 渡された執事服を見て真幸は気合いを入れる。


「着用の仕方はメモがあるので、それを読んでね」


 御影が思ったより親しみやすい人物で、真幸はそれに驚いていた。


「それじゃ、早速着替えます!!」


「あぁ、頼んだよ」






「まぁ、皆さんお似合いで!」


 玄関前に集まった釧路家の面々を見て、亜子は目を輝かせて言う。


 御影と同じ執事服を身に纏った真幸は、渋い顔をしていたが。


「まさか母親のメイドコスプレを見る羽目になるとは思いませんでした……」


 母、真弓はノリノリでメイド服を着ていたが、それを死んだような目で見ている真幸と真菜。


「あら、コスプレじゃないわ。今日から本物のメイドさんよ」


 ニコニコ笑顔で言う真弓に真幸はこう返すしかなかった。


「あぁ……。ソウデシタネ……」


 その時、ちょうど門から車の音が響いて来た。


 真幸はかすかに亜子の顔がこわばっている事に気付く。


 理由を尋ねようとしたが、御影がやって来て釧路家の面々に言う。


「それじゃ早速お客様だ、皆さん丁寧にご挨拶を」


「はい!」


 皆で仲良く返事をして、玄関のドアを開け、来訪者を待つ。


 車から降りてきたのは。


「おぉ、愛しの亜子様や、マロが来たでおじゃる」


 顔面白塗りで、平安時代の貴族のような格好と化粧をした男だった。


 釧路家の面々はふところから塩を取り出して。


「悪霊退散!!」


 次々に塩を平安貴族にぶつけた。


「おじゃああああ!!!」


 慌てて降りてくる平安時代の付き人。


「ぼ、坊ちゃま!? 貴様ら、坊ちゃまがいくら気持ち悪いからといって、そのような無礼を!!」


 塩まみれになった平安貴族は付き人に真顔で言う。


「おい、お前。今なんて?」


「なんでもございません。ともかく、こんな無礼な奴ら、坊ちゃまが無駄に得意なバトル和歌で身の程を教えてやりましょう!」


 釧路家の面々は思った。「バトル和歌?」と。


「あの、バトル……? なんですか?」


「マロの特技、バトル和歌じゃ」


 平安貴族は胸を張って話を始めたので、追加でもう一回塩を投げておく真幸。


「おじゃー!! 塩を投げるな!!」


「皆さん、その辺で。皆さんにまだ伝えていなかった事がある」


 御影が釧路家の面々をなだめて話し始める。

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