一生もの

朝陽 透

一生もの

俺はこの関係を一生ものだと思っている。

相手には言えないこの関係。

俺がお前のことを思っているなんて、絶対に言えない。

何もできない関係。


あの人は、俺のところにいつの間にか住み着いた。

音も立てずに。

ドアも、床も、空気さえも揺らさずに。


好きだというくせに、姿は見せない。

いつか絶対に会うって言ったくせに、

何も音を立てやしない。


無言を決めている。


でも、絶対にそこにいるのはわかる。

触れそうで、触れられない場所に。


無言でしかないのに、無言ではない。


少し間があって、

それを考える。


狂ってる。


美しいほどに。


あの日見たものはいったい何だったのか。

あの日聞こえたものはいったい何だったのか。

ずっと考えてしまう。

何回も、何回も。


それに憑りつかれたまま、

俺は今もここにいる。


この関係が終わるなんて、思えやしない。


いつか絶対に会うという約束だけを残して、

去っていく罪な人。


その約束のために、

俺はここに立っているしかない。


それが――

俺にとっての、一生ものだ。

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一生もの 朝陽 透 @toru_zero

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