辺境冒険者ギルドの進化研究室〜ちびっ子テイマーは精霊博士と一緒に色々な可能性を引き出す〜
幸運寺大大吉丸@書籍発売中
第1話 優しい冒険者ギルド
-side ウェン-
「おいしょ、こらしょ」
ど田舎町--アインスの冒険者ギルド。
俺--ウェンはそこの冒険者ギルドで手伝いをしている。
手伝いと言っても、3歳の俺に出来ることは限られている。
せいぜい、今から行く研究室に物を運ぶくらいだ。
「よっこいしょ!しつれーします!物を運びにきました!」
「うむ。ご苦労じゃ」
研究室に着くと白髪に白衣を着たお祖父さん--ジルさんが出迎えてくれる。
このとっても優しいお祖父さん、昔はすごい魔法使いだったらしい。知らんけど。
「ウェンくん。いつもありがとのう。ちょっとお茶でもしようか。お菓子もあるのじゃ」
「わーい!」
お菓子!やったー!博士は結構くれるのだ!甘い物大好きな俺としてはすごく嬉しい。
--コポポポポ
博士が手をかざすと魔道具が作動しコーヒーとココアが入る。
「ほれ」
「ありがとー!」
ココアを飲む。あったかくて美味しー!
「ほれ、クッキーじゃ!」
「わーい!」
博士がくれたのはチョコチップ入りクッキーだ。
--パクリッ!モグモグモグ……
「おいしー!」
「よかったよかった」
和やかな雰囲気が流れる。
「時にウェン。お主、ワシの後継者にならないかね?」
「ふぇー?」
いきなりそんな事言われても難しいし、わからないよ〜!
「なーに後継者と言ってそんな難しい事ではない。少々ワシのいない間、ここの研究室を守ってて欲しいのじゃ」
「わかったー!」
それだったらいいか。
「うむ。実はワシ、結構長い事ここを空ける事になるのでな、しばらくの間実質ここのマスターはお主になる。ここは好きに使うといい」
「結構長い事っていつまで?」
「うーむ?それが分からんのじゃ……今回の案件はかなり時間がかかりそうでな……ギルドには報告しておいたから、ウェンの好きなようにすると良い。別に嫌だったら、ここを放り出して他の街へ行くのも構わない」
「はーい!」
本当に研究室を維持するためにやった方が良いこととかないみたい。
「博士になったら給料が出るのでな。お主の生活費にしてくれ」
「もしかして、それがねらい?」
「違うぞ?ウェンの可能性を見込んでじゃ……」
そう言って、博士は俺の頭を撫でる。
転生して、生きるのに必死だった俺を救ってくれた冒険者ギルド。
そんな優しいみんながまだ小さい俺が働かなくて良いようの気遣ってくれたみたいである。
「ジル博士」
「む?」
「がんばるー!」
「うむ。良いことじゃ。ほなな〜」
そう言って、博士はいなくなった。
「えええええーー」
別れを惜しむ間もなくぬるっといなくなっちゃったよ!あーれー!?
そんな感じで今日の波乱の1日がほのぼのとスタートするのだった。
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