第8話 カオス・カオス・カオス3

「こんばんわ」


今朝の警察沙汰で、さぞ、お疲れかと思いましたが見違えました。


彼女は胸の空いたセクシーな服装に派手なネックレス、スカートも短い、

いつの間にか黒かったはずの髪の毛の色が綺麗に茶色になっていて、

まるでホステスさんのように着飾っておりました。


お化粧も目尻に黒い書き込みがあり、まつげも長く真っ赤な口紅・・・

今朝、旦那さんが、あんな事になって入院してるのに・・・


 真向かいのソファーに座った奥さんは出した飲み物も飲まず、いきなり話を始めました。


私の悪い癖といいますか目のやり場に困りました。

寄せて上げているのか胸の谷間が眩しく、

それに加え、わざとなのかスカートの中が思い切り丸見えで、なんかドキドキしてきました。


「奥さん、すいません、ちょっと足閉じてもらうか、このフリース膝にかけてもらって良いですか」


「あら、見かけによらずウブなんですね、私、よろしくってよ好きなだけ見ていただいて、もっと広げましょうか?」


奥さんは・・・いえ彼女は、ふわりと足を広げると・・・


私は強めに言いました。

「奥さん、冗談はやめてください、そんな事なら帰っていただけますか」


「あははは、冗談ですよ助けてくださった御礼に、ちょっとサービスしただけです」


「もうやめて頂けますか相談が無いなら帰ってくださいっ!」


「いやーはははっイケメンさんに大事な相談が、あるんです。

怒っちゃイヤあーたん・てい・さんっウフ(´∀`*)」

全然、足を閉じてはくれません。


奥さんは顔の表情も態度も不自然で支離滅裂っぽくなってきました。完全におかしい、別人のようです。


「実は家の井戸の事なんですが」


『あぁ井戸の事、忘れてた』

「はい」


「予算がないので家を建てた業者に賠償してもらおうかと考えまして私の父に相談しました。

私の父は今でこそ年金暮らしですが

前は建築関係の会社をしていたので色々と調べてもらったのです。


家を建てた会社はもう既に倒産していました。

その会社は、なんでも古いしきたりや風習などを一切無視するような工事をたくさんしてきたのだそうです。


井戸を床下に隠すなんて、お手の物らしく基礎石に墓石を使って建てたプレハブなんかもあったそうです。

それで調べが進むうちに父は昔の建築関係の友人から聞いたらしいのですが、あのアパートも同じ建築会社が建てていた事がわかったんです」


「ん?どういうことですか」


「はい私の家と、うちの銀行が管理している、あの呪いのアパート、同じ建築会社が建てていたんです」


「はぁー・・・それわぁー・・・」

『なんという偶然・・・いや、偶然じゃないだろソレ・・・』


すると急に事務所の蛍光灯照明が明滅しだしました。


―チカ・チカ・パッ・パッ・・・


『ん?なんだ?一箇所だけじゃなく全部が点滅するなんて・・・』


それに構わず奥さんが話を続けます。

「それで私たちは自分たちを踏みつけるように、あのアパートを建てた会社を破滅に導き、

会社の社長も私たちが呪い殺しました良い話でしょう?式さん」


「はっ?呪い殺した?いったい何を言っているんですか?」


彼女は座ったまま背筋を伸ばして私に言いました。

そして顔がまるで油絵で描いたような

無表情の人形みたいに見えました。


「私たちわあーそばにいる物すべてぅおー呪うことにぃーめざめたあー」


チカチカと照明が明滅しています、奥さんは持ってきたトートバックに手を入れました。


バックに何が入っているのでしょうか、

刃物か?まさか拳銃なんて・・・


奥さんの目は釣り上がり、にっこり笑った口元が明滅する光のせいか耳まで口が裂けているように錯覚を起こして見え始めました。


私は戦慄を憶え心拍数があがり照明の明滅する中、恐怖で金縛りにでもあったかのように動けません。


『えええ?なんだ?動けない・・・目が離せないっ!』


バクバクと大きな口が上下に動いて奥さんが話しかけてきました。


「わたしたちのぉー たあましぃーわぁーーー じごぉくにぃー

たのしみぃー うばうのやめぇろー

おもーしろいでぅえーしょうょおおー

わたくしわぁーきょうう みんなのぉーだいひょうううとしてぅえー

あなたをぉーころしにぃーきたのだぁーあああああー」


目をひんいてきました彼女は化け物か?

口の中が真っ赤になっています。


―チカ・チカ・パッ・パッ・・・


『うっわ!怖ぇよぉーメッチャこわいんですけどぉー』

以前、照明は明滅しています。


―チカ・チカ・パッ・パッ・・・


『逃げなきゃ・・・あれぇ?・・・どうした駄目だ、体が・・・動かない』


体に力がはいりません頭では逃げようと考えているのですが

神経が無いかのように手足になんの反応もありません。


彼女は、ゆっくりとバックから手を引っ張り出してきました。


「あーなたぁーぅわぁーー しにぃーたいんでぅぇーしょぉうううー」


目玉がまん丸になって・・・耳まで裂けた口が大きく開きました。


―チカ・チカ・パッ・パッ・・・


「フフッ」

誰もいないはずの私の背後で、いつか聞いた男の笑い声が聞こえました。


叫ぼうと思いましたが

『ああぁっ!こ、声がっ・・・でない!・・・

まずい・・・ヤバイッ!!!!!!』


私の呼吸が荒くなって手足がしびれ体が動きません。

もう夢なら覚めてくれと心の中で叫びました。


『たすけて静華さんっ!』


その頃、外で待機していた刑事、小辻さんと鈴木さんが事務所の異変に気がつきました。

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