第17話 考察・式マルダ

「ところで式さん、ご出身はどちらですか?」


「はい地元・函館ですが生まれたのは東北です」


「東北のどちらで?」と西条先生


「は、それが全然なじみがないのですが青森県、陸奥市から少し奥に入った○○村という所に実家がありました」


「んーそこで式という一族がいらっしゃったのですか」


「あーいえ実家は尾駮と名乗る一族で、そこの長女だったのが私の養母でして函館に嫁に来て数年後、私を養子に迎え入れ育てたのです」


「ほおーでは式家に嫁に来てマルダさんを養子にもらったのですか?」


「それが違いまして式というのは、どういう事か私だけなのです、おまけに子供の頃の記憶が全くなくて憶えているのは養父が亡くなった小学四年生だった頃からの記憶が少しあるだけです。

両親とも既に亡くなりましたが私の生い立ちについて私は何も聞かされませんでしたし私も聞いちゃダメな事のように感じてまして母親も何も話さないまま先日、亡くなりました」


「そうですか・・・」


「自分の事なので故郷だけは少し調べたことがありますが本家は家族が離散していまして実家は更地になり誰も住んでいません。

尾駮という名前の由来は下北半島に尾駮沼という所がありまして何か関係があると思います」


「あー尾駮沼、行ったことがありますよ、昔・民谷君とねー、あそこは非常に静かな場所で綺麗な沼でした、地元も観光地にとはあまり考えていないようで、むしろマナーの悪い観光客に知られたくない空気まで感じましたよ。

これは勝手な憶測で想像ですが、東北のおしらさま信仰の元になった沼ではないかと思っています」


「おしらさまですか?」


「ハイ知っていますか」


「はぁそういう話は聞いたことがあるだけで詳しくはないです」


「なるほど、あれは詳しいルーツが残っていなくて民間信仰だと言われていますがアイヌ民族の木彫りに夫婦の物がありますがそれも同じようなものではないかと考える者もいます。

その村の血をひいていらっしゃるのかもしれませんが式という名前は私の知る限り四国から関西方面・京都などで聞いたことがある御名前で元は陰陽師・修験道・民間の神信仰などにかかわる一族に多い名前です」


「はい」


「東北には異界に通じる場所が多く存在するらしく

色々な地方から修行の旅に下北半島を訪れた霊能者も多くいたと古い記録に残っています。

よって東北の神社やお寺は独特の信仰や風習が多いのです。

北のイタコ・南のユタ、どちらも名称の由来はヘブライ語が元ではないかという学者もいます。

下北半島は砂浜少ないですが、それは大昔、地盤沈下で断層に沿って太平洋側に古代遺跡ごと土地が大きく沈んだからだと考える学者もいます」


「はぁ」


「式さんは何か深い訳があって函館までいらっしゃった可能性があるかもしれませんね」


「そうでしょうか・・・」


「式さんは何か不思議な体験はありますか」


「はぁ・・・UFOは良く見ます」


「ほぉーどんな?」


「はぁ光の玉みたいのからフットボールを横にしたようなのとか頻繁に見るときもありますよ」


「なるほど・・・うーん」


「あの式先生そろそろ会社に戻りますか?」と尾形君。


「あーっ、そうだな、すっかり長居してしまいまして、また伺いたい事が出ましたら連絡させていただいてよろしいでしょうか」


「あーかまいませんよ、いつも暇ですから経過も気になりますし連絡お待ちしていますよ」


「あ、はい、こちらこそよろしく、お願いいたします、それでは・・・」


「おじゃまいたしましたー」


「オジャマいたしました」


妙に体と心に力が入って疲れてきた私たちは

奥様に御挨拶して西条邸を後にしました。


「おい」

「はい」

「先生、大丈夫かな長時間、無理させちゃたな」

「はい、疲れて・・・きてましたね・・・」

「俺らも帰って休もう・・・だめだ」

「はい・・・」


数日かけて、この取材の数々をレポートとして社長を通して静華さんに送りました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る