天国ニシカワ病院

ついか

先の声の怪異





病院の窓からは夜の明るい光が

差し込んでいた

昨日はなにをしたんだっけ

先生がお茶を淹れてくれていた


「アールグレイティーだよ」


「アールグレイティーね

アールグレイティー.....」


その紅茶は名前だけわかっていた

なんか、聞いたことがある

まさに紅茶って色の紅茶が

そそがれる


「天国に来てから、どう?」

「どうもないです...

........自分の死因もわからないし、

一体なんでここに居るのか、

お母さんとお父さんに

会いたいってわけでもなくて、

むしろここに来てよかったし、

ホッとします。」

「ふふ そう、それでいいんだよ」


ほんのり最悪の回答だけど

素直に話した

自分の死に様だけがわからないが

ただここが天国の病院だと

そして最近ここに来た

きっとこれから幸せになれるのか、

____



よくわからないけど涙が出た。

遠くから救急車の音が聞こえて、

わたしの病院にはこなかった。

ここは精神の病院なので

救急車はこないからだ

こないのかな?多分...こないよ


そろそろ寝ようとした。

矢先



『おやすみ、』


「.....?」


「おやすみ、なさい、」


どこからともなく、

おやすみと聞こえてくる

わたしの病室はひとりきりなので

少し怪異に怯えながら

天国に怪異なんてものはないよ...

と自分を安堵させる

もう、死んでいるのだから

死んでて...なんだか安心した。

天国に、触感は、あっ、て、

それで、、






.....朝だから、強く

日が差し込んでくる

眩しいので、起こされた。


かつてないほどに静かで

たまに何かの声とか、

音が聞こえてくる

喧騒っていうみたい。

でも騒がしくはないので、

なんなんだろうな〜

喧?...ってなに?


ズズ...

スル...

キュ タ タ タ

病室を出てみて、

何かがないかとかを

何かただ探してみるような

ただ暇でつまらなかったから

眠たいのでコーヒーが飲みたい


「追加 ちゃん!」

「!」

「びっくりした?」

「、うん〜」


あんまりしてない


この子は、はゆちゃん

白くって、可愛い子


「ねーねー聞いたー?」

「?」

「最近ね、変なのがいるんだって」

「変なの?」

「そう 七不思議じゃない?」

「七不思議は学校でしょ」

「ふふふ」

「じゃあこの病院でもつくろう!」

.....


「天国なのにお化けはいないよ〜」

「えー!居てもいいでしょ!」

「絶対に居た方がたのしいよ」

「そうかな〜...」


「変なのってどんなのなの?」

「ん〜、夜ね」

「一人なのに、声が聞こえたり」

「えー すごいベタっていうか、

怪異じゃないでしょ」

「え〜絶対...」


馬鹿らしい。


「追加ちゃーん」

「!、ハイ」

「ちょっとこっち.....

お話中だった?ごめんね」


.....。


絶対いるのに。

追加ちゃんの背を見送りながら、

絶対いるのになって思う

追加ちゃんが、どうしても欲しい

絶対に彼女が必要。



追加ちゃんは、なんで

もっとずっと見てくれないんだろう。

わたしって...そんなに魅力がない?

ないかも

最近みんなわたしを苦しめている

気がするからなあ。


タツ タツ タツ...


なんだかなあ...


『.....』

誰かいるのかな?

あれ...変なところに来ちゃったな。

診察室、、

どこだっけここは。



『君は』


あっ

な、なに!

だれ!





『おはよう』








怪異 怪異 怪異だ





「大丈夫!?」



「っ..........」

「歩ける...?

突然転んじゃったね...

何か、、あったの?」


はあ はあ


「大丈夫です」





________





「せんせい〜」

「ん〜?」

「何するんですか?」

「今日は追加ちゃんのお薬を〜」

「あの」

「ん?」




「追加って誰ですか.....」


「あ.....」

「あゴメン〜!別の子だったっ!

ごめんねほんと!!」

「見間違えちゃった〜!!」


「先生 見てましたよ」

「あ.....」

「.....」


先生の目元に濃いクマがあった

看護婦さんを呼んだ

先生はそういう節がある

働きすぎなわけじゃないけど

溜め込むひとだ。


「せんせい........」

「.........」

「はは.......」


「先生少しいいですか」


看護師さんが顔を覗かせる


「!、はい」


「せんせい、休まないと...」


明らかに看護師さんは

焦っていたようなので

引き止められなかった


部屋を出ると


そこには、はゆちゃんが居た

「はゆちゃん」

「追加ちゃんの友達か...」

、、、

「何かあったかな?」

「大丈夫です...

少しコーヒーを飲みすぎました...」


はゆちゃんはいつのまに

コーヒーなんて飲んだんだろう

私も飲みたかったな


「そっか.....」

「じゃあちょっとこっちで

休んでみようか」


...... 。。。


はゆちゃんは、

最近、ほんとに変な気がする。


「追加ちゃん?

良かったら、一緒にいてあげて。

せんせいはせんせいの部屋で

休んでくるね。」


「はい.....」

ほんとかな.....










「はゆちゃん

.....何かあったの?」

「.....」

「みたの...」


「おばけを」


「おばけ?」


はゆちゃんの顔がとても、蒼白なのだから、

信じないといったらすごいバカ。

でも、天国なのに、

お化けなんて居るのかわからない。


「はゆちゃん」


ギュ


「えっ」



「大丈夫だよ」


追加ちゃんが

近くにいる

ふふ...

追加ちゃん


私はとっても

ついかちゃんがだいすき


すき

すき

すき

すき

すき

すき

すき



「おばけっ.....て」

「どんなおばけ...?」


「.....」


『こわいでしょ』



「大丈夫だよ、怖くないよ」


『こわいんだ』


『はゆちゃんが』


『こわいんでしょ』



えっ


気づくと天井は真っ暗になっていた

はゆちゃんは俯いたまま、

体育座りの姿勢で人形のように

なっていた


私は、昨日の晩に

これと全く同じ声を聞いたのを

思い出した

『おやすみ』だったっけ...

おやすみには、おやすみって、

そう


「こわくない!!」



...... 。。。


はぁ はぁ


怪異は 怪異は

どうやら、ただ返事が欲しかっただけ

みたいだった

真っ黒の天井が灰色に近づいていく


「はゆちゃん...大丈夫?」


「大丈夫...」


こわくないと追加が叫んだら、

わたしの気持ちもすっと消えた


不安が全部消えたみたいな気持ち

わたしは、

怖くないんだ

怖がられていないんだ

よかった...

追加ちゃんに嫌われているって

ずっと不安だったから

今はすごく綺麗な気持ちがある


気づいたら

私はまた追加ちゃんに

ぎゅーっとくっつかれていた

追加ちゃんもきっと怖かった

なんだか、すごく迷惑だったよね


追加ちゃんの胸はすごく

あったかかった





「これね

アールグレイティーっていうの」


「あーる ぐれいてぃー」


「苦いから覚悟して飲まなきゃ」


「.....

追加ちゃんが淹れてくれたから

大丈夫だよ」


「.....」


「ごく ごく」


たまにはコーヒーより

アールグレイティーのほうがよくて

少し甘くて苦くて

まだ追加ちゃんに近づくには

私なんて程遠いのかな?と思った。

怖かったのかな

気づいたら手を握られていた


追加ちゃんの顔をみると

少しへんな顔をしていたから

指と指を交差させて

ぎゅーっと握ってあげる

なんだか今日は

すごい苦すぎたけど

明日は甘いといいな、と

心からそう思った


「追加ちゃんさ」


「、、、」


「無理して飲んでるよね」


「してない」


追加ちゃんは

変な顔をしていた。

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天国ニシカワ病院 ついか @tsuika

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