『作子と解男の謎解きシリーズ』
香森康人
『電車おじさんの謎』問題編
T高校には作子(さくこ)と解男(ときお)が通っていて、仲のいいカップルだった。
「おい、知ってるか、俺たちの隣のS高校の生徒が行方不明になってるらしいぜ。可愛い女の子だって話だよ」
「いやね。非力な女子高生を狙うなんて、人間のクズだわ。ほんと。クズ!」
「お、おう・・・・・・」
「何か情報は無いのかしら?」
「どうやら行方不明になる前に、最近誰かに見られているような変な視線を感じるって警察に届け出てたみたいだよ」
「そうなの、可愛そうね。早く見つかるといいんだけどね」
作子は、自分の部屋で、最近少しずつ重量をあげてきている10kgのダンベルを右手で持ち上げては下ろし、うっとりとした目で自分の上腕二頭筋を見つめながら言った。筋トレは作子の学校に行く前の朝の日課だった。
解男は、その隣でコーラを飲みながら、作子を見ていた。久しぶりに作子の家にお泊まりして、朝早くに作子の「フンフン」という腕立て伏せをする音で起こされた。筋トレ中はいつも気が少したっているのであんまり刺激しないようにしていた。
「それはそうと、この前、電車で変なことしてるなって人がいたのよ」
「どんな?」
「解男くんも知ってると思うけど、あたしがいつも朝学校に行く時に乗る電車って向かい合うように座席が設置されてて、二両編成の小さいものなの。ほとんど人も乗ってないんだけどね」
「うん」
「いつものように階段を降りたところで電車に乗って、何個目かの駅で、おじさんが乗ってきたのよ。そのおじさんがね・・・・・・、ってちょっと待って」
作子はダンベルを置いて、そばに置いてあったプロテインを流し込んだ。
「うん、それで」
「それで、そのおじさんが茶色いナイロンのカバンを持ってるんだけど、それを電車の網棚に置いたの。そしたら、普通網棚の荷物の下に座るじゃない?それが、荷物の下じゃなくて、荷物の向かい側の席に座ったのよ。おかしいでしょそれって?」
「それは確かに変だな」
「それも、それから毎日なの。同じような場所に座って、毎回反対側の網棚に荷物を置くのよ。あたし、気になってしょうがないから今度、何で荷物の下に座らないんですかって聞いてみようと思うんだけど、どうかな?」
解男は考え込んでしまった。作子は、こう見えても、見た目は可愛らしい普通の女の子だから、あんまり変なことには首を突っ込んでほしくない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます