ダンジョンが出現したので魔法少女になって配信する─憧れの人とお近づきになりたい─

大崎 狂花

第1話 ダンジョンと魔法少女

 突然のことだった。世界中にダンジョンが出現した。


 ダンジョン・・・・・・というのは漫画やアニメ、ゲームでお馴染みのものだ。中には魔法という不思議な力を使う魔物と呼ばれる存在がいて、侵入者を殺すべく徘徊している。ゴブリンやコボルト、オークなんかもいるし、巨大なドラゴンもいる。そんな場所だ。


 今まで創作物の中にのみ存在していた空想上のものが、突然この現代社会のあらゆる場所に現実のものとして出現した。アメリカ、中国、ロシア、フランス、イギリス・・・・・・あらゆる国に。もちろん日本にも。


 ダンジョンをそのまま放っておくと中の魔物が街の中に溢れてきてしまうらしく、政府は自衛隊を出動させてダンジョンの中の魔物を狩り始めた。


 しかし、ダンジョンの内部の魔物は強く、自衛隊でも手を焼く。それに加えて人が足りない。自衛隊だけでは数多く出現したダンジョンをカバーしきれない。


 だから、政府は一般市民の手を借りることを決断した。一般市民は一般市民だ。自衛隊の代わりになるような力など本来持ち合わせていない。しかし、なぜかダンジョンの出現とともに普通だった人々にも超自然的ファンタジー力的能力が発現したのだ。炎を操ったり、言霊を操ったり、時間を少し止めることが出来たり・・・・・・まさにファンタジーな能力だ。


 オカルト専門家たちは、これをダンジョンが出来たことによる世界の歪みが原因だという説を唱えていた。そもそもダンジョンがいきなり出現したことも世界の歪みが原因だし、それによってさらに世界の歪みは増して、人々に異能力が出現したのだ・・・・・・とオカルト専門家たちは口を揃えて言ったけど、詳しいことはよく分からない。なぜこうなったかはこの際なんでもいい。


 政府は足りない人手をこの異能力が発現した一般市民で補うことにした。彼ら彼女らを訓練教育して魔物と戦わせることにしたというわけだ。


 国が出資して会社を設立して、希望する者を訓練教育して魔物と戦えるまでにした。その人たちは一般人ではあるものの訓練と異能力によってすぐに自衛隊員と同等かそれ以上の戦闘能力を持つに至った。その会社所属の戦士たちは、ダンジョンハンターと呼ばれ、活躍した。


 で、こうして人材不足は解決したものの、今度は資金難に直面した。国からの出資や、ダンジョンから獲得出来る宝物もあるけど、それだけじゃ無理らしい。


 それで、困った会社の方はある作戦を思いついた。それは、ダンジョンハンターたちに配信をさせるということである!!


 配信をさせれば広告収入も見込めるわけでコンスタントに資金を稼ぐことが出来る。アイドル的な人気を得られて、人々からの支持を得ることも出来る。まさに一石二鳥だ。


 こうして、配信するダンジョンハンターとそれを推すファンたちが爆誕した。人々は魔物をかっこよく倒すダンジョンハンターたちに熱狂するのだ。


 で・・・・・・


「そんなことはどうでもいいんだよ!!」


 そうだよどうでもいいんだそんな世界観設定は! ここまでに一体何百文字かかってるんだよ! 話が長いんだよ!!


 そう、私にとって大切なこと、それは・・・・・・


「私は憧れの人とお近づきになりたいんだー!!!」


 私の名前は上杉キリカ。人からはちょっと変わってるって言われるけど、私としてはどこにでもいるごく普通の女子高生だと思っている。


 そして私には夢がある!! それは憧れの人、ダンジョンハンターの夢野チハヤさんとお近づきになることだ!!


「ああ、麗しのチハヤお姉様・・・・・・あなたとお近づきになりたい・・・・・・お友達になりたい・・・・・・そしてあわよくばもっと深い関係まで行きたい・・・・・・」


 でも、私には残念ながらファンタジー的な異能力はない。火も吹けないわけだし、時間も止められない。これじゃあダンジョンハンターにはなれない!


「うああああ!! どうすればいいんだー!!」


「ちょっとーうるさいわよー!」


「あっごめんごめん!」


 いけないいけない・・・・・・お母さんに怒られちゃった。今は普通に自分の部屋にいるわけだからね。あんまり騒がないようにしないと。


「で、まあなんの力もない私はダンジョンハンターになるなんて、夢のまた夢だったわけだよ。・・・・・・今まではね」


 そう、最近私はあるものを拾ったのだ。それにより特殊な力を得、平凡な私でもダンジョンハンターになれるようになったのである!!


「そう、この・・・・・・魔法少女ステッキによって!!」


 ・・・・・・いや違うよ? 別に私は妄想と現実の区別がつかなくなったイタい子ではないから・・・・・・。


 私も最初はそうだったよ。この魔法少女ステッキは普通におもちゃだと思ったし、頭の中に声が響いてきた時にはついに私も終わったんだと思った。チハヤお姉様への憧れが限界突破しちゃったんじゃないかって・・・・・・。


 でもまあ実際これは本物だったわけだよ。頭の中に響いてきた言葉を叫んだら変身出来たし、不思議な力だって使えた。


 つまり、これを使えば私でもダンジョンハンターになれる!


「待っててチハヤお姉様! すぐにダンジョンハンター道を駆け上がって、隣に立たせていただきます!」


 私はおー!と魔法少女ステッキを突き上げる。


 こうして、私のダンジョンハンター立志伝が幕を開けたのであった。

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