第3話 俺ら、冒険者になります!
その後、俺と蓮はそれぞれの家に一度帰ることにした。
「あとでお前んち行くよ」
と、約束を取り付けておいた。
「ほ~い」
蓮は気のない返事を返してきた。
俺は自室に帰って、とりあえずダイニングの簡素なテーブルで、コンビニで買った食料の残りを食べることにした。
流石に冷えて生暖かい食べかけのパスタと、タマゴサンドとレモンサイダーである。
むしゃむしゃ食べながら、自分の城を見渡す。
独り暮らしなので、管理できないような大きな部屋はいらなかった。
今、飯を食べている簡素なテーブルと趣味の良い冷蔵庫、コンロなどが置かれたダイニングキッチンと、
隣の、これも簡素なそこまでお高くはないだろうベッドと学生の勉強机のような机が置かれたリビングの二部屋、
あと、風呂トイレ別の1LDKである。
急いでいたし、あれこれ買い物するのもめんどくさかったので、家具は備え付けの物がある部屋を探した。
ペットは飼育不可である。
飯を食べてから、いろいろ考えに耽る。
今後どう生活していこう、ベーシックインカムポイントで、食料や住むところには困らない。
だが、贅沢のためのカレンシーポイントも欲しい。食料一つとっても、カレンシーポイントでしか食べられないものもある。服もそうだ。
仕事は……いるよなぁ……
もちろん、今の生活で学校などに通うことはできる。
しかし、AIガバメントは生涯学習を謳っている。
何も今じゃなきゃ学校に通えないわけでも、子供だから絶対学校に通わないといけないわけでもない。
冒険者……
俺は、子供心に憧れを抱いている職業がある。
冒険者。宇宙冒険者。三千銀河を股にかけ、悪い宇宙生物をばったばったとなぎ倒し、
ときに、地球外知的生命体との懸け橋となり、ときに、力ない人々の助けとなる。
そんな仕事。冒険者!
「やっぱり冒険者だよなぁ」
俺は、この気持ちを蓮と共有すべく、蓮の家に向かった。
「なにやってんの?」
蓮の部屋に入ると、蓮はなにやら作業机でディスプレイゴーグルを着けて、キーボードをカチカチ叩いていた。
据え置きディスプレイには難しそうなログが流れていたが、外からでは彼が何をやっているのかわからない。
「プランテーション」
なるほど、蓮は今、農園ゲームをやっているらしい。
農園ゲームはドローンや遠隔操作のロボットを使い、実際に農地を耕し、種を植えたりしてくれる。
また、出来上がった肉や野菜は、ちゃんと蓮の所有物になる。
ポイントランクのランク付けシステムの内容は詳しくは知らないが
彼のランクの高さは、能力の高さや日頃の行いのほか、こういった生産性の高さも加味されてのことだろう。
実際のところ、人類はもう労働しなくてもAIの揺り籠で、食料問題や住居問題、それこそ技術や政治も任せて遊んで暮らせれる。
俺なんかは、それでもかまわないんじゃないかと思う。
だが、人類の代表とAIガバメントの合意で、「人間らしい生き方」というスローガンが掲げられている。
「人間らしい生き方」ってなんだろう?
「冒険者……」
俺は、つぶやいた。
「なるほど。両親と喧嘩して家を飛び出したツトム君11歳は、夢と憧れを抱いて、宇宙を股にかける冒険者になりたいわけですか」
蓮が皮肉なのかなんなのかよくわからない口ぶりで言った。
「だめかな……?」
「いいよ。付き合うよ」
ゴーグルを外して横を向いた蓮は、そう言って、楽しそうに笑った。
未来世界の少年。家出したので宇宙冒険者になる。 はお @haokuro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。未来世界の少年。家出したので宇宙冒険者になる。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます