未来世界の少年。家出したので宇宙冒険者になる。
はお
第1話 俺。一人暮らしはじめます。
賃貸会社のコンソールを見つめて、俺はドキドキしていた。
なんせ初めての自分の城である。
ターミナルへの距離。周りにスーパーやコンビニがちゃんとあるか。
築年数。風呂やトイレなどの設備。
ペットは可か、駐車場はあるか。
家賃はいくらまでか。
などの、諸条件を入力して、ヒットした物件は80件ほど。
その中で外観と内観の画像を見て、これは、と思うものを何件かキープ。
小一時間ほど熟考して。これぞ、というものを一件選んだ。
本来なら、ここでその物件を実際に見に行きたいところだが、
家出同然で実家を飛び出した俺にはその時間もなければ、家を見つけないと、帰るところもないのだ。
ここを賃貸しますか?
・OK。・キャンセル。
俺はコンソールのOKボタンをタップし、決定を押した。
コンソールに「ご契約ありがとうございます。」の文字が浮かび、
ピッ。っと音がして、俺のマイナカードを挿したデバイスが光った。
これで、マイナカード、及び生体認証が先ほど登録した
「南千里オレンジマンション302号室」のキーになったはずだ。
俺の名は、一条ツトム。11歳。男。
父は「勉」と「務」で迷って、結局「ツトム」にしたらしい。
まじめに働く人になってほしいという思いらしい。
正直、シワシワネームもいいところだが、別にいない名前ではないし。俺は気にしていない。
日本人らしくていい名前だと思う。
今は西暦2063年。
場所は、ヤマトの一地方。
なんでも、2040年代。人間の宇宙進出が始まるまで、ヤマトはもともと「日本」という国だったらしい。
その名残で、ヤマト国民は、自分たちのことを「日本人」と言ったりする。
因みに、お隣の高句麗、華夏も元々は「韓国」、「中国」と言ったらしい。
アメリカはずっとアメリカのままだが。
宇宙時代が訪れ、原点回帰した国が多かったのだとか……
そんな時代になっても、人間さんは人間さんのままで、
俺は昨日、両親と大喧嘩して、家を飛び出した。
理由はつまらない痴話喧嘩だったと思う。うちの父親はどうも支配的で独善的。
子供の自由を認めようとしない。
昔からそういうところは感じていたが、昨日、我慢ならずに言い合いから喧嘩になり、
そのまま家を飛び出した。
幸い今は宇宙時代。
今はAIガバメントにより、国民は年齢に関係なく、自由に住居を持つ権利を与えられている。
ベーシックインカムポイントにより、住むところも食べるものも困らない。
因みに俺はポイントランクが高いので、良い住居や良い食べ物を得る権利を与えられている。
いっそもっと実家から離れた大都会にでも家を借りるべきだったか?
だが流石に、まったく勝手のわからない場所での一人暮らしははばかられた。
さて、件の「オレンジマンション302号室」のドアの前についた。
電車で実家から、二駅。歩きを合わせても30分程度の場所である。
俺の城。俺の住処。流石にドキドキしてきた。
ドアの生態ロックに指で触れた。
ピッ、っと音が鳴り、キーがあく。
ノブをガチャリと回し、戸を引いてドアを開ける。
玄関に「Welcome to home!」とホログラムが浮かび、光のエフェクトがかかり、
パンパンッとクラッカーのホログラムが浮かび紙吹雪が舞った。
賃貸会社も粋なことをしてくれる。
「ただいま」
俺は言って、家に入り。
ドスドスと手荷物を置いて。奥の部屋のベッドにばたりと倒れこんだ。
ん~~~~!俺の城!我が家!マイハウス!
はじめての一人暮らし!
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