第6話 「運命の河原」
それから、俺たち姉弟には距離が出来た。
家事はいつも通り俺がしているけど、お互いに顔を合わすことがなくなった。
でも、そんな日は続かなかった。
ある日、姉から「話がある」と言われて付いていくことになった。タマも一緒だった。
場所は、近所の河原だった。
川の流れが少し速い。
姉はゲージに入れたタマを出した。
タマは周りをキョロキョロと見た。じっとして動かなかった。
「どうしたんだ?」
俺は不思議に思って思わず声に出た。
「覚えてるんだね、タマ」
「え?……もしかして……ここで」
「そう、捨てられてたの。私が見つけるまでね」
衝撃の発言だった。
「じゃあ、保護猫って言ったけど」
「もちろん、知り合いに言って預かってもらってたの」
「どうして、引き取ろうと思ったのさ?」
「なんか……寂しかったから、かな」
俺には見せない心の内を聞かされたようだった。
俺は高校生だ。
段々と大人になっていく俺が、ある日パートナーを連れてきたら? と不安に思っていたようだった。
タマを飼うことはその寂しさを埋めてくれる存在だったのだ。
「そう……かぁ」
そばにいるタマ。
納得した俺。
「姉ちゃんらしいな」
「なにそれ? 馬鹿にしてる?」
「違うよ。嬉しいよ。心配してくれてさ」
「ハハ……」
しゃべり疲れて、俺たちは黙った。
すると、タマが近くに何かがいることに気が付いたのか鳴きだした。
茂みからがさごそと音がした後、大型の犬が現れた。
しゃあー、という声を出して警戒するタマ。それに犬は大きく吠えた。
それにびっくりしたのか、タマはなぜか川の方に走っていった。
「ちょっと、タマ。危ない!」
俺と姉が駆け寄ると、タマは川岸ぎりぎりで止まった。
「もう、大丈夫だからこっちおいで」
姉がそうやって手を伸ばす。
するとタマは腕を伝った。
ちゃんと茂みに着地した。
しかし、姉はバランスを崩して川の中に落ちたのだった。
「姉ちゃん!」
その時、俺は両親が亡くなった時のような恐怖を感じた。
そう思うと、俺は川に飛び込んでいた。
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