姉の手

こわき すすむ

第1話 「温かい姉の手」

―― あの頃を思い返すと、俺は姉にすがっていたと思う。交通事故に遭って亡くなってしまった両親。姉は決意したんだ。



※※※



自宅のリビングで、泣き崩れた姉。

背の低い家具の上に置かれた遺骨が入った箱。

二つ一緒に並んでいた。



俺は、姉の手を握った。



「お姉ちゃん……」



こう声をかけた俺は、7歳になったばかりの男の子だった。



「怖いよ……」



か細い声で体が小刻みに震えていた。

それを見た姉は、さっきまで涙で濡れていた頬を拭い取った。


そして、俺の目をしっかりと見た。



「大丈夫よ」



握られた手。



―― 泣いてるところをあなたに見せられない。頑張らないと。

そういった気持ちが伝わった。



「お姉ちゃんが守るから」



その手。

とても温かった。



―― それから俺は、姉を信じてきた。その絆を疑ったことなんて、無かった。

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