1:

「よく来たね。私は君をずっと待ってた」


脇道から来た旅人は、三位一体に話しかけました。

   でも三位一体は、なんのことだかさっぱりです。


「君はだれ?僕を知っているの?」


「うん。君は”うつくしさ”のもとなんだ。

   私は君に寄り添うためにここへ来たんだよ」


「寄り添うと、何がわかるの?」


「自分と相手を比べ合いっこして、足りないところを見つけたり、

   教えてあげたりできるんだ。独りぼっちじゃできないだろう?」


「ここまで来るのに寂しくなかった?」


「とてもね。でもここで出会えた。それだけでいいんだ」


旅人は三位一体の右隣に並びました。

   するとどうでしょう、たくさん枝分かれしていた道が、

      ひとつの明るく輝く道に変わっていくじゃありませんか。


二人ともよく分からないまま、なんだか分からない自信が湧いてきました。


「じゃあ、行こうか」


「そうだね、進もう」


二人は緩やかに曲がっていく道を、

   果てしない螺旋を描く線の上を、

      うつくしい世界の約束のうずを、

          にこにこと微笑みを浮かべながら、

             ずぅっと歩いていきましたとさ。



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うつくしいうず 矢張 宗輔 @YappariSohsuke

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