暗殺軍記 ~月の女神と夜の都の建国記~

@saito4562

序章1

力が欲しい、と思ったことは誰にでも一度はあるんじゃないだろうか

理不尽な力を押し付けられた時、大切な何かを守れなかったとき

往々にして、”敗者”になった時に、そう思うことは多いだろう。


常として、勝者は全てを手に入れ、敗者は全てを失う

そして、手に入れたものが多ければ多いほど、自身の生命の安全は確保され、

それに大きな安心感と幸福を覚える


つまることろ、”力”とは、生命の安全を担保するための手段であり、

生きたいと思うならば、どういう形であれ”力”がいる


では、次の思考実験だ。力とは何か?

それは、様々なルールの上での”定義”だ

極論、人間が不老不死であり、須らく生命の安全を担保する必要がないのなら、

力の定義はまた変わるだろう


話を戻して、この世界におけるルールでは、力とは大きく3つに分類される

…あぁいや、そもゲームのルールを語る前に、

盤上、この世界の前提を話さなければならないだろう


思考の中では世界地図を広げられないのが残念だが、

この世界にはいくつかの大陸と海が存在している

今自分が根を下ろしているのは、最も大きな大陸、アーノルド大陸

その中央にある、小国、レイドそこが自分が生まれ、育ってきた場所だ


続いて、この大陸の勢力を確認しよう

この大陸には、大きく分けて3つの国が存在している

まず、大陸の4割を占めるガルク帝国、次が大陸の3割を占めるリルート共和国

そして、残りの3割を占める30を超える小国群

(…群とはいったが、連盟を組んでいるわけではなく、各国が自治権を行使している)


そして、この3勢力は、自分が生まれた時から戦争、領土争いをしていた

もっと言えば、自分が生まれる前、親の代から戦争を続けている

何故そんなに戦争が長引くのかって?

それは、この世界の”力を持つ者”にとって”戦争中であることの方が都合がいい”からだ


始めの頃は”真面目に”戦争をしていたようだが、10年を超える頃から大規模な衝突は鳴りを潜め、小康状態が続いている。

国内へのパフォーマンスのための国境付近での小競り合いや、数年に一度祭りのように大規模なにらみ合いをしたりもするが、結局戦闘は起こらない。形骸化した戦争が続いている


話を戻して

なぜ、戦争が長引くのか?それはもはやこの世界が戦争を前提にした世界構造、ビジネス構造になっているからだ

分かりやすい話、戦争には人間が必要だし、武器も食料も必要だ

そして武器を作るためには鍛冶師や工場が必要だし、原料となる鉱石も必要になる

食料も、軍事用に加工する工場が必要だし、それを育てる畑も必要だ

そして人間も言わずもがな、人間を育てるためには食料も、勉学も、訓練もいる

そして、その全てに従事する人間がいて、産業がある

もし戦争が無くなってしまったら?

これらの産業をしている大半の人間は職を無くし路頭に迷うだろう

そして、職を無くし、金がなくなった人間がすることなど相場が決まっている

略奪、強奪、治安が悪くなれば国の運営は立ちいかない

つまるところ、戦争が終わらないのではなく、”戦争を終わらせられない”のだ

長く続いた戦争により、既に世界の土台がそうなってしまっているのだ

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