私がこの物語を拝読する時、いつも感じることがあります。
この物語の主人公を取り巻く環境は、残酷です。まるで、私たちが生きるこの世界みたいに。
迫害や中傷、そういった理不尽なことで心を傷つけられ、未来への希望を信じたくなくなるような、そんな現実が蔓延っています。
それでも、決して諦めないことの尊さ。
もがき、一筋の光を追い求めることの美しさ。
それがいつもこの物語からは漂っているのです。
私はこの作品を読むと、白銀の雪に染まる世界で、橙色に優しく灯り続ける光を連想します。
決して派手じゃない、遠くからは見えないかもしれない、それでも確かに温かく、消えることのない光。
主人公二人やその他の登場人物も、しっかりとした己の考えを持っています。思想は時にぶつかり合いながら、もちろん対立することもあるけれど……しかし私がいつも感じるのは、根底にある、そこはかとない「優しさ」。
作者さんの、「人を信じたい心」をいつも感じられるのです。
疲れた時、人を信じてみたい時。
優しい物語に触れたい時、眠れない夜。
そんな時に、是非読んでほしい物語です。
2026/6/27時点でのレビューになります。
もう誰にも関わらず生きて行くと決めていた少年、リセル。
名前と人生を奪われていた少女、エリシア。
特殊な力をもつ民の末裔である二人は、それぞれが過酷な運命の中で生きていた。
特にエリシアには、特殊な立場と肩書があり、権力者たちの思惑が彼女を取り巻く。
そんな二人の逃避行は、いつの間にかかけがえのない日々になっていた。
美しく冷たい世界の中で、リセルとエリシアが「自由」を求める物語です。
物語が進むにつれて二人が出会ったことは、運命だったと思いました。
逃亡生活の中で、お互いを思いやるようになっていく二人。
様々な出会いと別れ。
そして、エリシアを求める「影」の存在。
二人の旅に大きな変化が起きた時、お互いを想う心理描写が色濃く描かれます。
二人とも諦めてしまうこともできたでしょう。
悲劇もまた人生。
お互いに良い思い出として終わらせることもできたかもしれません。
それでもリセルは、胸の中に宿った誓いのような灯を選んだ。
エリシアもきっと、再びその灯に手を伸ばすはず!
そう確信できたのは、二人がかけがえのない旅をしてきたから。
過酷な世界の中で、「自分の人生」を見出した二人の物語。
この物語は読んでいる人々の胸にも、オレンジ色の優しい火を灯してくれるはずです。
近況ノートや、「旅のしおり」などのエピソードによる人物紹介や、細やかなあらすじがストーリーへの理解を深めてくれます。
二人の逃避行の裏で蠢く政治的なストーリーの存在。
二人を取り巻く運命と力。
そして二人の行く先。
第六章のリセルの逃げずに立ち向かうと決めたカッコ良さ。
普段のエリシアはふわふわしていて可愛いのに、第七章で見せた深い影を感じる部分。
その他にも、登場人物たちの人間味に溢れたキャラクター性。
美しい文章表現。
二人のルーツにまつわる謎。
二人の中に秘められた「力」の存在。
魅力が盛り沢山な、ダイヤモンドダストのように煌く物語です!
気になることがたくさんあるこの物語は、現在第七章。
第七章は、エリシアの視点で描かれる、ある場所での生活。
物語全体の佳境に向かっている感じがあり、とてもワクワクしております。
素晴らしい物語を生み出して下さりありがとうございます!
深い孤独を抱える少年リセルと少女エリシアによる物語は、雪深い大陸を舞台に丁寧に立ち上がっていきます。
丁寧な描写から寒々しさが伝わってきて、雪深さに匹敵するほどの孤独を抱えるリセルの心情とかさなっていく感覚がありました。
追う者と逃げる者という設定はそれだけで緊張感があり、読み進めながら一緒に逃げている感覚になれるのですから、作者様の演出の巧さが光ります。
選び抜かれた美しい筆致による食事のシーンはあたたかく、焚き火の熱が届いてくる。
時に謎が生まれ、伝説が持ち上がり、その中でリセルとエリシアは互いの存在を意識し合う。
章ごとに空気感が違うので、物語の様々な顔を楽しめる構成も魅力です。
特にいま読んでいる船旅の場面は、リセルと同乗しているメンバーや脇役のキャラクター造形も丁寧で、それぞれの人物に魅力を与える作者様の歩み寄りが個人的に惹かれました。
ずっと感情を抑えてきたリセルの心が、様々な出会いによって少しずつ溶解していく姿は胸が熱くなります。
そんな心情を洗練された文体で紡いだ喪失と希望のヒューマンドラマです。
「俺は、もう誰とも関わらない」
そう決めていた少年の凍った心を溶かしたのは、無意識に自分の服の裾を掴んだ少女の、震える指先でした。
主人公リセルとエリシアの二人がお互いを思いやり、少しずつ歩幅を合わせていく姿はとても尊く、不器用な優しさに読んでいて温かい気持ちになります。
特筆すべきは、その「質感」の描写です。
私は物語全体を包み込む「ブルーフィルターがかかったような質感」の美しさに、深く感じ入りました。
肩に食い込む荷の重さ、泥水の冷たさ、そして焚き火が爆ぜる音。
厳しい自然の中で生きる人々の息遣いが丁寧に描かれているからこそ、二人が分け合うわずかな火の温もりが、読者の心にもじわりと染み込んできます。
二人の関係がどう深まっていくのか、今後の展開がとても楽しみです。
静かな感動を届けてくれる、素敵な作品をありがとうございます。
未読の方は、まずは序盤の数話だけでも、その空気感に触れてみてください。
白金の髪の少女を追う黒い鎧。
少女と逃げることになった少年。雪に散る赤い血。何かの影。
――美しさと残酷さが同居する、逃避行から始まるファンタジー。
無事に逃げられるのか。
そして、この少年は何を背負っているのか。
物語を追ううちに見えてくるのは、孤独になりきれない危うさを抱えた少年の心のうち。
追われる少女の秘密、そして彼自身の出自の謎という二つの軸が、先を読みたいと思う気持ちをぐっと強くします。
途中、捕らえられる展開もあり、緊張感が途切れません。
文字による映像的な美しさに加え、肌を刺すような不穏な空気、ある力を行使する時の温度や光、登場人物たちの歩んできた過酷な道のり。
様々なものが伝わってきます。
特にターニングポイントとなる第三章で、物語のスケールが一気に広がります!
履歴書が一人一人書けそうな存在感がある郷の人達、大好きです。
二人がどのような絆で結ばれ運命に向かい、何を誓うのか。
これからの展開がとても楽しみです。
(第四章途中までの読了で書いてます)
「もう誰とも関わらない」と孤独を選んだ少年リセルと、冷たい聖堂に囚われていた少女エリシア。
なんとか檻を脱した彼女を待っていたのは、全てを白く塗りつぶす、凍てつくような雪景色でした。そして、ついに力尽き倒れてしまった彼女。
リセルが自らの掟を破り、その細い腕を掴んだ瞬間。二人の運命が、交わり始める。
背後に迫るのは、法を超えて人を裁く「黒聖」。そして、王の剣ヴァルデン。
運命に追い詰められ、共に崖下へと消える二人。
――そんな緊張感溢れる2章まで、一気に読み進めました。
この物語の魅力はストーリーだけではなく、その鮮明な舞台に、リセルの繊細で濃厚な心理描写が重なっていく部分にあると思います。
孤独の深さを知っているからこその、エリシアの言葉も温かく、リセルの不器用な誠実さも心に刺さります。
この二人、私はとても好きです🐱。
冷たい雪景色の中で、二人の心臓の音が聞こえてくるような、鮮烈な没入感を味わえるファンタジー作品です。
この物語は、リセルとエリシアの二人が追われる身となるところから、大きく動き始めます。
作者が場面描写や心理描写にかなり力を入れていることが伝わってくる作風で、雪原から始まるプロローグひとつをとっても、主人公が感じている寒さや孤独が自然と伝わってきます。まるで自分がその場にいるような感覚で読むことができました。
物語の展開もわかりやすく、なぜ主人公たちが追われる立場になったのかが丁寧に描かれているので、読みながら「もし自分がその場にいたらどうするだろう」と考えてしまいます。気がつけば、二人を応援する気持ちで読み進めていました。
これからも定期的に更新されるとのことなので、今後の展開を楽しみに追いかけていきたい作品です。