第2話 裏の顔
蓮と清原凛は、誰が見ても付き合っているように見えた。
キャンパスで並んで歩き、凛は少し後ろをついていく。
蓮が笑えば、凛も釣られるように笑う。
だが――
蓮は凛の彼氏ではなかった。
正確に言えば、「彼女だと思っているのは凛だけ」だった。
蓮は相変わらず、夜になれば別の女と飲み、
週が変われば腕の中の相手も変わる。
凛の存在は、そのローテーションの一つにすぎない。
凛はそれを知らない。
気づけば、凛は変わっていた。
安物のトートバッグを大事にしていた彼女が、
いつの間にか有名ブランドのバッグを肩にかけている。
服も、靴も、香水も――
「似合っている」けれど、彼女のものじゃない匂い。
SNSも同じだった。
・高層階レストランの夜景
・高級そうなコース料理
・グラス越しに写る男の手(顔は写らない)
コメント欄は華やかだ。
「凛ちゃん。大人っぽくなったね!」
「彼氏できたっしょ?」
凛は何も答えない。
ただ、いいねだけが増えていく。
優斗は知ってしまった。
サークルの先輩から、飲み屋で聞いた蓮の話。
「蓮? あいつ今、3人は同時に抱えてるだろ」
「彼女面してる子がさ、全員“本命”だと思ってるのが地獄だよな」
笑い話のように語られる現実。
優斗の手が震えた。
その夜、優斗はLINEを打った。
凛、聞いてほしい
蓮はキミが思っている様な人間じゃない
利用されてるだけ。
目を覚ましてくれ!
送信。
既読がつかない。
時間が経つ。
一度でいいから話そう
お前が傷つくのを見たくないんだ!
それでも、既読はつかない。
翌日。
翌々日。
未読のまま。
優斗は気づく。
凛は蓮に“夢を見させてもらっている”だけで、
そして夢を壊す現実の言葉を、無意識に遮断しているのだと。
優斗はスマホを伏せ、深く息を吐いた。
「・・・間に合わなかったんだなぁ・・・凛」
いや、
まだ終わっていない。
蓮の裏の顔を知る者は少ない。
見た目は確かにチャラい男だが、その口調、話の内容、学内での行動が
彼の本当の姿を覆い隠していたのだ。
だが、優斗には確実な証拠がある。
清原凛と同じく蓮の毒牙にかかった女性から提供されたスクショ。
彼女は幸い、あと一歩のところで蓮から離れることが出来たのだが
その時に残していたLINEの内容は、凛のスマホに来ていたものと同じ内容。
まるでテンプレートのようなものだ。
それを優斗は大学の内部通報システムを利用して蓮の悪事を暴こうとし
そのスクショも送った。もちろんその女性には許可をもらって。
そして――
夢は、必ず覚める。
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