或る幼なじみのはなし

日野出雲

第1話

 好きな人に

「放課後、屋上に来て」

って呼ばれた。

 だから、私は今、屋上扉の前で情けなく二の足を踏んでいる。

 柄にもなく心臓が騒いで、授業がまるで手につかなかった。

 手が、震える。今度はなんだろう。

 彼女のことは好きだ。大好きだし、愛してる。でも、一緒には逝けない。

 まだ、死にたくない。

 あの日、屋上で手首を掴まれたあの恐怖。

 手が、震える。

 「ふっ、はぁーー」

覚悟はできた、よしっ。

 屋上の扉を開ければ突風が駆け抜ける。

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