第10話 統治しました。

斎藤義龍の誇る、

マムシの長柄の槍部隊が一斉に動いた。


槍衾やりぶすまを組み、

左右の茂みがざわりと揺れる。


「出るぞぉ!!」


「今じゃ!!囲め囲めぇ!!」


「前ぇ!右ぃ!左ぃ!!逃がすなぁ!!」


草むらから、

人の波のように槍が突き出される。


五メートルを超える槍先が、

前から、右から、左から

信長軍へ襲いかかる。


「ぐあぁぁっ!!」


「腹ぁぁ!!腹刺さったがや!!」


「戻れぇ!戻れんぞ!!」


一突きで人が貫かれ、

引き抜くと同時に血が噴き出す。


地面は赤黒くぬかるみ、

転べばもう立てない。


信長の軍は、完全に挟撃された。


「くそったれぇ!!」


柴田勝家が吼える。


「邪魔だでぇ!!」


勝家は長柄の槍を素手で掴み、

力任せに


「おりゃああああ!!」


ぶん投げた。


槍は空を切り、

数人まとめて倒す。


「ば、化けもんかぁ!?」


「人の腕じゃねぇがや!!」


前田犬千代(利家)も血まみれで踏ん張る。


「突っ込むなぁ!!下がれぇ!!」


「足取られるぞぉ!!」


「ぐあっ!!」


利家の鎧に槍が擦り、

火花が散る。


関心している場合じゃない。

これは本気でまずい。


「くノ一部隊!騎馬に乗り相手を撹乱せよ!

装甲車部隊前方の槍部隊に突撃!」


命令が飛ぶ。


次の瞬間


ボンッ!!


白煙が戦場を覆う。


「げほっ!!何も見えんがや!!」


「どこだ!?どこから来るぅ!!」


煙の中から――

影が走る。


「ぐぎゃぁ!!」


「首ぃ!!首切られたぁ!!」


クナイが、

喉、脇、太腿

鎧の隙間に突き立つ。


倒れた兵は、

仲間に踏み潰され、

呻き声だけが残る。


そこへ


ガガガガガ!!


装甲車が突っ込む。


「うわぁぁ!!」


「ひ、轢かれるぅ!!」


槍が弾かれ、

人が跳ね飛び、

骨の折れる音が響く。


さらに上空


「なんだぁ!?また空かぁ!!」


ハングライダー部隊。


「落ちてくるぞぉ!!」


ドンッ!!


手榴弾。


土と肉と血が混ざって吹き上がる。


「うあぁぁ!!腕がぁ!!」


「目ぇ!!目ぇが見えん!!」


クロスボウの矢が、

次々と頭を貫く。


義龍は、その地獄を見ていた。


「……なんだ……」


「こんな……戦……」


「夢だで……夢に違いねぇ……」


部下が叫ぶ。


「殿ぉ!!もう持たんがや!!」


「槍が!槍が役に立たん!!」


信長軍は、

盾と装甲車に守られ、

徐々に立て直していく。


「押し返せぇ!!」


「今じゃぁ!!」


左右の槍部隊へ、

手榴弾が投げ込まれる。


「逃げろぉ!!」


「うわぁぁぁ!!」


隊列は崩壊。


「引けぇ!!」


義龍が叫ぶ。


「城へ戻るぞぉ!!」


「引き上げじゃぁ!!」


だが


「右が逃げとるぞ!!」


「左はもう散り散りだで!!」


誰も、命令を聞かない。


僕は、くノ一部隊と共に義龍を追った。


狙うは、敵将の首。


義龍は二人の武将に守られていた。


「近づくなぁ!!」


「殿に指一本触れさせんぞ!!」


剣が交わり、

血が飛ぶ。


「ぎゃっ!!」


「だぁ!!」


二人は倒れた。


そして

僕と義龍は対峙した。


「一騎打ちいたすか!」


義龍が吼える。


「武士の意地、見せてみぃ!!」


「嫌だね!」


「……何だとぉ……」


-シュッ


ブッス!!


クロスボウの矢が、

眉間に突き刺さる。


「が……」


血が噴き、

義龍は地面に崩れ落ちた。


「貴様……武士として……」


言葉は、最後まで出なかった。


(僕は武士じゃない)


くノ一によって

首は刎ねられ、

血が地面に落ち続ける。


僕は斎藤義龍の髪の毛を掴み上へ持ち上げた。

(これが生首かぁ。夢にでてきそうだ。おえええええぇええぇええ)

首から下に血がボトボト落ちてる。


いずれは固まるんだろう。


周囲には、

死体、断末魔、

泣き声。


大将を失った斎藤軍は

完全崩壊。


「追い討ちじゃぁ!!」


信長の声が響く。


「逃がすなぁ!!」


美濃の国は、

血と恐怖の中で、

その主を失った。


そして

美濃の稲葉山城は、

無血で開かれることになる。


美濃の国は信長様の統治となった。


【第一部 完】


__________________________


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