ホラー《創作》
揺籠(ゆりかご)ゆらぎ
第1話 セミぉ゙
ある夏の日、田舎のおばあちゃんの家で、ひとり留守番をしていた。
夕暮れ。
部屋の中は薄暗く、窓の外から蝉の声だけが流れ込んでくる。
ミーン、ミーン。
《蝉の声》
それを、ただ聞いていた。
ミーン、ミィーン……
ミーン、ミ――――
――少し、長い。
「……?」
ミ゙ーンミ゙ーン
なにこれ?さっきと音が違う、
人が蝉の声を真似してるみたいな下手くそな音
ミ゙ーン、
……ボクト……アソボ(小声)、ミ゙ィーン♪、ミーン……ブチッ
クチャ……く……
《蝉の声じゃない》
「だれ?なんなの」
……あ、ソ……ボォ
なんだこれ、なんだこれ……
身体がガクガク震える
音に敏感になって、固唾を飲んで外を伺う
……
……………
ぬー
「はっ……ふぐっ……はぁはぁ」
障子の向こう明らかに人ではないサイズの顔の影が廊下を寝そべったまま右から現れた。
な、なにが
……
……
何も、
何も言わない
……
「……ボく〜友達イナク手一緒に……んでくれくれ《アソボ》る娘を探してイ、イルイルイルいる……ンだあ、あとね………
ソレから………ヒハ……、
デね………」
やめてくれよ……
心臓が爆発しそうだ。
それに――
障子を向いて寝そべている巨頭の影が
少しづつ大きくなってる
話しながら少しづつ、少しづつ大きくなりながら障子にすすんでくる。
身体は動かしてはいない。
寝そべった影がそのまま前進し、
ついには障子に体を押しつけ、
それでも話し続けている。
押し付けた顔の輪郭が見える。
眼窩や顔、口の輪郭がはっきり分かる、
今にも破れそうだ。
障子の口でしゃべり出す。
声は障子に辺りぼやけて震えた声は
黒板を引っかく音と同種の嫌悪感をもたらし。
――鳥肌が消えてくれない。
「ねえ……機、いてる?……ボソ、ボソボソ……ん、んにぉあー……でね
あっはは齒!」
障子で型どられた口が大口を空けてはなしだす。
「ねえ……そろそろ……そろそろだよね?んねぇ?
そうだよねぇ?」
「……」
ドンドン!!!
「ひっ!」
遅しくて固まった手足は白く、油の切れたロボットのように動かない
それでも、それでもなんとか這いつくばって
それから一番遠い部屋の隅に移動し
体を壁に押し付け、ガクガクと震えていると。
……?
ガサガサ
!
ガサガサ…ザラ……ザラ……
なに、をしているの?
ヤツが
口を大きく
あけて
ざら……ざら……
舌で障子を舐め回してる。
ドクッ ドクッ
心臓が和太鼓のように鳴り響く
ドンドコドンドン!
ドンドコドン!
な、何を考えて……
ビリッ
「はッ…ぁッ!」
舌を、
伸ばして、
障子を
破いていた。
……
人間とは思えない長い舌が
シュルリ
と障子のむこうに戻ってゆく。
……何するか分かる、自分が嫌いだ。
ゆっくりと奴が平行にスーと移動する。
ゆっくりと移動して
『障子の穴にめをあてた』
――――――――
――――
―――
――――――――
――そこからの記憶はない
起きた時には奴はいなかった。
――ただ、
私の身体からは酷い臭いと無数の歯型が残っていた。
何をされたのか
――しりたくもない
それから10年、おばあちゃんの家にはいけないままだ。
完
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