第9話 ヒロインとラーメン屋
前回のあらすじ
銀狼族のリンによって守られた麵汰。その後異世界転移後2回目となる救助をうける。見たときのある天井。彼は救護室に運ばれていた。
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「麺汰さん。あの時はゴブリンから私を守って下さりありがとうございました。私は銀狼族のリンといいます。Fランク冒険者をしている16歳です。」
「いや、あれは俺が勝手にやったことだから……。気にしないで!それよりもみんなから聞いたけど、どうやら俺が意識を失っている間、ずっと周囲を警戒していてくれたみたいで……こちらこそありがとう。」
「いえ、私は一度あなたを見捨てて、自分だけ生き残ろうと、逃げようとした極悪人です。あなたのような善人でもできた人でもない。私があなたを見捨てないと決意したのも、自分が人であるためのエゴにすぎません。」
「エゴでもなんでも、ありがとう。結果としてリンは俺を守ってくれた。自分の命をかけて。それが事実だ。本当にありがとう。」
「う”う”っ……。」
私は、私は本当の意味で変わりたい。いつか麺汰さんのように自分のエゴではなく、純粋な善意をもってヒーローになりたい。行動に移せる人になりたい。
それから私達は他愛もない話をしました。お互いにけが人で歩けない同士。話をしている中で私は知らなかった麺汰さんの一面を知ります。
「俺は実はこの世界でないところから来たんだ。俺の住んでた世界ではもっと科学技術が進歩しててたり、ご飯が美味しかったり、モンスターがいなかったり、この世界ではありえないようなことの連発だよ。きっとリンも驚くよ!」
「麺汰さんがスキルを知らなかったのって……。」
「リンの予想通りだよ。異世界からきてほんの一瞬でカブカ虫との追いかけっこ。死にかけたよ。」
「笑いながら話すことですか(笑)」
彼も私も笑ってしまう。彼の話が本当であれば1週間しか経っていないはずです。
「1週間でFランク冒険者になれるなんて麺汰さんってばすごいスキル持ちなんですか?」
「いや、俺のスキルは料理系スキルだよ。『ラーメン屋』っていうんだけど。こっちの世界にはないから知らないよね。」
「すみません……。でも料理系スキルなのにずいぶん戦闘できるスキルなんですね!かなり珍しいスキルなんじゃないですか!?」
「かもね……。でも俺は本当は戦闘なんかせずに、料理で生活していきたいんだけどね。開業資金集めで冒険者をやっているだけなんだ。」
「そうなんですね。」
部屋に静まり返る。
ごくっ。自然と私の喉がなりました。怖い……でも、この機会を逃したくない!
「あっ……あの!麺汰さん!私とパーティを組みませんか!?」
私は怖くて目を硬く閉じ、下を向き返答を待ちます。自分の心臓の音がうるさい。たった一瞬の静寂だったかもしれませんが、私には無限に感じたのです。
「パーティ?ってなに?」
「え!?」
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