便槽
@njdmwj
便器
目が覚めたとき、俺は知らない女性宅の便槽の中にいた。
いや、便槽。普通の社会人なら絶対に入らない場所だ。頭を振ると、昨日の記憶がちらつく。そうだ、昨日は飲み会の帰りに迷子になり、タクシーも捕まらずに徘徊していたんだ。…それでどうやってこの家に入ったのかは、全く思い出せない。
便槽の中は意外と深く、腕を伸ばしても便器には届かない。体を揺らすと、水がざわざわと音を立てて動く。すると、ぽちゃん、と何かが落ちてきた。
――うんこだ。
いや、いやいや、これはもう笑うしかないだろ。状況がシュールすぎて、笑いがこみ上げる。
「なんで俺、知らない女性宅の便槽でうんこと同居してんだ…」
そのうち、ぽちゃん、ぽちゃんと何かが次々落ちてくる。小さな水の波紋が広がり、便槽の中で俺は一人、まるでコントに巻き込まれたような気分になる。
頭を上げて周囲を見回す。狭い便槽の中で体を動かすのも一苦労。腕は便器に届かず、足も水をかき分けるしかない。…それにしても、なぜ便槽なんだよ、俺。普通に考えてありえない。
それでも体が水に浮かんでいると、なんとなく安心する。便槽は嫌だが、少なくとも呼吸はできるし、沈まない。…と自分に言い聞かせながら、ぽちゃんと落ちてくるものを見ては吹き出す。
――今日一日、便槽から出られる気がしない。
でも、不思議と腹は立たない。むしろ、この非日常が楽しみになってきた自分がいる。便槽の中で一人、シュールな茶番に巻き込まれた気分だ。 「よし、便槽ライフ、満喫するか…」
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