人工悪魔は影から

イワスズタ

第1話 天使と悪魔

 今から約100年前、地球とは別の遠い惑星から日本の東京に神々しい姿をした人間では無い何者かが空から舞い降りてきた。

 その者は自分の事を『支配者』と名乗り、人間の中から無作為に選んだ者に天使の力と悪魔の力をそれぞれ与え、一つの予言を残して去っていった。


100


 最初は貰った者は何の為にあの支配者は力と予言を残していったのかよく分からなかったが、その意味を理解出来たのは支配者が訪れてから約3年後だった。

 突如、世界各国で謎のゲートが出現し大小様々な怪物が出現し始め、今ではその存在を『エピドロメアス』と名付け、そのエピドロメアスを退治する人間達を能力者と呼ぶ。


 西暦2026年、大学2年生の辻井怜つじいれいはいつもの様に友達と大学の講義を受けた後にファミレスで食事を取り家に帰宅すると、ポストの中にとあるが入っていた。

 

「何だこれ」


 封筒の前にも後ろにも宛先は書いておらず、怪しみながらも封筒を開けると、一枚の黒い紙が入っており内容は以下の様に書き記してあった。


 辻井怜殿


 貴方はとある悪魔に魅入られ、継承者に選ばれました。

 今日中に、東京のエピドロメアス対策本部までいらして下さい。

 さもないと、地球は存続の危機に陥ります。


 この俺が、悪魔に選ばれた?

 封筒の内容を見た怜は驚きのあまり、開いた口が塞がらないでいた。

 怜は確かにこの手紙に書いてあるエピドロメアスについては詳しく知っている。

 今の学校では中学生の頃から大学生までエピドロメアスの歴史や天使と悪魔の力の継承等を授業で習う事が義務化されており、知識はそれなりに入っているので今回の悪魔についても勿論知っている。 

 悪魔の力というのは主に近接戦闘型の力が基本的な物で、そこから時代が流れていく毎に遠距離型や魔法型など様々な戦闘型の力が生まれていったという。

 そして極めつけは最後の文に書いてあった『さもなければ、地球は存続の危機に陥ります』という文だった。

 今の日本では成人の約5割ほどが能力者として天使や悪魔から上位〜下位までの力を授かっている上、世界に20人程度しかいない最高ランクの能力者が日本には9人も在籍しているので、なんら自分一人がこの言葉を無視したとて影響は限りなく0に近いと考えていた。


「くだらね」


 そんな現在の状況を鑑みて、怜はくだらないと思いその手紙をくしゃくしゃにしてゴミ箱に捨て、部屋でスマホを見る。

 

 夜、キッチンで晩御飯の支度をしていると突然インターホンがなったので玄関に向かってみると黒服でサングラスをした大人が3人目の前に立っていた。


「······どちら様ですか?」


「辻井怜さんですね。私達はエピドロメアス対策本部の者です。今すぐ我々と東京の本部まで来てもらいます」


「え、ちょっと、俺まだ晩飯食べてない······」


 その黒服達はエピドロメアス対策本部の者達の様で、夜になっても東京の本部まで怜が顔を出していなかったことから此方に来たようだ。

 怜は腕を掴まれ、強制的に黒い車に乗せられ東京の方まで連れて行かれる事になった。

 一体何なんだと思いながらも車の中でどうして俺が必ず行かなければいけないのかと質問するも、返ってくるのは『それには私達は答える権利は持ち合わせていません』の一点張りで怜はため息を吐いた。

 怜の住んでる所は東京外ではあるものの、隣県なので車で約1時間半程の移動でエピドロメアス対策本部に到着した。

 本部の外装は白と黒を基調とした、横にも縦にも広い建物で思わずその建物に見入ってしまう程だった。


「では、行きましょう」


「はいはい」


 黒服について行くが、流石対策本部と言ったところなのか、セキュリティが厳重で目的の部屋に向かうまでカードキーの承認が2つ、生体認証と持ち物検査がそれぞれ1つずつあった。

 これほどの検査や認証があるのだからそれくらい大事な部屋に連れて行かれるのだろうと今ここで理解できた。

 

「こちらです」 


「ここって·······」


「局長室です」


 目的の部屋というのは局長室だった。

 本部の局長室、つまり、エピドロメアスと天使悪魔の関係の中で今最も権力が上の存在に今から出会うことに、驚きが隠せなかった。

 何の変哲もないただの大学生がエピドロメアス対策本部局長と出会うなんて、人生何周してもあるのだろうかというくらいだった。

 黒服がドアを開け、『どうぞ』と言われたので恐る恐る局長室に入る。

 すると局長が座っていたが、後ろを向いていたので姿は見えないものの、ただの一般人でさえ局長の圧倒的なオーラが部屋中に漂っている。


「辻井怜様をお呼びしました。局長」


「ありがとう、君達は下がってくれ。ここからは二人で話がしたいんだ」


「了解しました。失礼します」


 局長はどうやら怜と二人で話がしたいようで、隣にいた黒服二人は部屋を出ていき部屋には局長と怜の二人きりになった。

 すると局長は椅子を回転させ、此方を向きていた。


「初めまして、エピドロメアス対策本部局長、近藤重隆こんどうしげたかと申します」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る