エピローグ:『アカネ』の最終報告と、動揺する世界

​『ノベル・フロンティア』の作者ページには、完結の報告と、読者への感謝のメッセージが投稿された。

その末尾に、一枚の画像がひっそりと添えられていた。


​【作者報告:『異世界・聖地巡礼の旅』完結御礼!】

​皆様、長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございました!

アカネです。

​ついに旅は終わりを迎えましたが、私の心の中には、たくさんの景色と、美味しい食べ物の記憶、そして――かけがえのない出会いが残っています。

​この物語が、皆様の日常に少しでも彩りを与えられたなら幸いです。

応援、本当にありがとうございました!


​追記:読者の皆様へ。一緒に旅をした「最高のお供」のイメージを、最新のAIで画像生成してみました! 私の脳内イメージにピッタリの美青年が爆誕です! ぜひご覧ください!


​公開された画像は、青い空の下、緑豊かな森を背景に立つ一人の青年騎士だった。

銀色の髪は風に揺れ、透き通るような青い瞳は遠くを見つめている。白いマントをなびかせ、腰には綺麗な装飾を施された鞘に収められた剣。

彼の口元には、どこか困ったような、しかし優しい笑みが浮かんでいた。


​【数時間後のネット掲示板の反応】

​1500:名無しの読者

アカネ先生、完結おつー!

そしてAI画像のクオリティが高すぎて、吐血したwww

​1505:名無しの読者

​1500

おい、ちょっと待て。これ、本当にAI生成か?

左手の剣の柄の部分、よく見ると細かく傷が入ってる。マントの裏地も、歩き続けたせいで少しだけ毛羽立ってるんだが……。

​1510:名無しの読者

​1505

分かる。AI画像って背景とか肌の質感や陰影とか、どこかしらに「生成した感」があるはずなのに、この画像、完璧すぎる。

風でなびく髪の流れ方、光の当たり方……全部が自然。

​1515:名無しの読者

待って、カイルの顔のちょっとした赤み。あれって「聖女様と歩いてて恥ずかしくなってる」時の赤みじゃね? あの時のカイルそのものじゃん!

​1520:名無しの読者

え、てことは、これって……本物ってこと!?

アカネ先生、やっぱり異世界行ってたんだな……!?


​自宅のPC画面を見ながら、朱音は冷や汗を拭った。


(やばい、みんな「AI画像にしてはリアルすぎる」って疑ってる! そりゃそうだ、だって私が隣でスマホで撮った『本物』なんだから!)


​聖地から帰る直前、別れ際に「記念に一枚!」と強引にカイルをモデルにして撮影した、とっておきのツーショット写真。

その中のカイルだけをトリミングし、背景をちょっとだけぼかして、あたかも「AI生成しました」と装った、まさに究極の偽装工作だった。


​【作者:アカネからの追記】

​​ちなみにこのAI画像、生成するのにめちゃくちゃ時間がかかりました! 「銀髪イケメン騎士、困り顔、背景は森、ちょっと日差し強め」って、何回も呪文唱えたんですよ!​AIって、本当にすごーい!


​朱音は内心「嘘! 一発撮りだよ!」と叫びながら、必死の追記で誤魔化そうとする。

しかし、その追記もまた、読者の好奇心をさらに煽る燃料にしかならなかった。


​【小説投稿サイトの最新コメント】

​『シルバー・ナイト』:

​アカネ様。その画像……私の手元にある、とある人物の肖像画と酷似しております。その困ったような微笑み、まさしく……。

​よろしければ、この画像について、もう少し詳しくお話を伺いたく。

いずれ、そちらへ参りますので、その際に。

​(追伸:その「AI」というものについて、詳しく学んでみたいのですが、もしや「魔道具」の一種でしょうか?)


​朱音は、カフェのテーブルに顔を伏せて呻いた。


「……終わらない。私の異世界、全然終わらないんですけど!?」


​こうして、女子高生・朱音の「物語」は、形を変えて、これからも続いていくのだった。


​(完)

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これ、全部空想ですから! ~女子高生、異世界旅行を小説にして投稿する~ 白黒鯛 @shirokurotai

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