Extra Orders

日比野 英次

第1話 Hunger Shooter/01

 響き渡る、乾いた甲高い音。


 音と共に、暗闇は光に切り取られる。

 一瞬だけ闇がそこを満たし――餓えたように再び闇がそれを喰らい尽くす。

 再びそれを嫌うかのように疾駆する閃光。


  がぅん


 静寂と同時に餓えが、彼の指先をくすぐる。


  がぅん


 そして三度目の――それは銃声。


 途端、銃口炎とは別の光が、闇を払い彼を照らし上げた。


 繁華街の裏路地、ビルに囲まれた谷間。

 薄汚れたゴミ置き場。

 すえた匂いと夜の闇が人々を遠ざける場所。


 だとしても異質な黒い影。

 既に獲物は事切れた。


  ぽたり ぽたり


 雨音。

 雫は地面を叩く。


 いつから、降っていた?


 見上げる。

 雨雲は仄明るく、闇を退かせていた。

 開発が進んだせいで、闇は退いた。


 ざあ、と屋根が奏でる騒音。


 煩い沈黙は、洗礼を受けるように誰にだって訪れるのだろう。

 いい加減、手元の凶器を懐に入れる。


「ご苦労」


 そんな、不釣り合いな声が。

 雨音を抜けて鼓膜を刺した。

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