追放された古代魔法士ロック──その力は、世界の底を揺らす
塩塚 和人
第1話 追放
ロックは、
夕暮れの石畳に
立ち尽くしていた。
町の外れ。
冒険者たちが
集う場所。
そこは、
別れを告げられるには
十分すぎるほど
人目のある場所だった。
「話は、
もう終わりだ」
剣士エギルの声は、
冷たく、
感情を削ぎ落とした
刃のようだった。
パーティ
「ブラッククリスタル」。
その中心に立つ男が、
一切の迷いなく
そう言い切った。
ロックは、
唇を噛んだ。
何か言わなければ、
そう思うのに、
言葉が出てこない。
古代魔法士。
それが、
ロックの職種だった。
だが、
魔法は使えない。
スキルも、
一度も発現しない。
半年間。
何も起きなかった。
「魔法士は、
魔法を使って
なんぼだ」
エギルは、
視線を逸らしたまま
続ける。
「俺たちは、
お前を守るために
冒険しているんじゃない」
タンクのボルトは、
黙ったまま
盾を背負い直した。
弓使いリンネは、
気まずそうに
目を伏せる。
ヒーラーのマリーは、
何か言いたげに
口を開きかけ、
そして閉じた。
誰も、
ロックを
見ていなかった。
「……努力はした」
ロックの声は、
驚くほど
小さかった。
「わかってる」
エギルは、
短く答えた。
「だからこそだ」
それ以上の
説明はなかった。
ロックは、
パーティから
追放された。
十三歳の少年が、
冒険の世界で
一人になる瞬間だった。
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