世界侵食型ダンジョン人形回廊

濃紅

第1話 回廊





───


世間では、派手なダンジョンが好まれる。


巨大な魔物。

分かりやすい報酬。

映像映えする戦闘。


そういうものが、人気だ。


それに比べて、人形回廊は地味だ。

見どころは少ない。

攻略効率も悪い。


評価としては、妥当だと思っている。


こちらの管理するダンジョンが、

それらに及ぶことはない。

及ばせるつもりもない。


意欲がない、というより、

必要がない。


人形回廊は、そういう場所ではない。


それでも、子らは増え続けている。


生成は止まらない。

配置は追いつかない。

回廊は、少しずつ狭くなる。


管理としては、失敗だ。


子らに、顔向けができない。


理由は単純だ。

ダンジョンマスターだからだ。


管理している以上、

責任は発生する。


人を呼ばない。

消費もされない。

評価もされない。


それでも、増え続ける。


このままでは、いずれ行き詰まる。


ならば、方法は一つしかない。


孕み手自ら、攻略を行う。


ただし、

それはダンジョン攻略ではない。


こちらが、

他のダンジョンに潜る、

という話でもない。


逆だ。


ダンジョンが、

世界を攻略すればいい。


人形回廊が、

静かに、

確実に、

外へ広がればいい。


それが、

管理として

最も合理的だ。


母体として、最善を尽くす。



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