手を繋いでくるのは反則です

「あ、おはようすずめちゃん」


「あ、おはよう」


 いつも通りすずめちゃんに挨拶をすると、心なしか元気がなさそうな声色で返ってきた。


 やっぱり昨日のことかな、そんなに楽しみにしてたとは。


 一応謝ったほうが良さそうだと思い、一言すずめちゃんに言う。


「昨日はその、ごめんね。私のミスでその、あれができなくって」


「いやいいの、昨日は昨日で楽しかったし!」


 両手を横に振りながら、すずめちゃんは笑顔になって返してくれた。


 優しい……。


「おはよ更紗ちゃん!」


「おはよ」


 私がすずめちゃんと話していると、一段と明るく挨拶をしてくる栞がいた。


 昨日の通話で言ってたけど、やっぱり明るいな


「栞ちゃん、なんかいつもより嬉しそうだね」


「え……ま、まぁね!」


 だけど気づいたことがある。


 栞ちゃんは私と話すときは自然でいられるけど、すずめちゃんや他の人と話すときはまだ表情が硬いのだ。


 ……よし、このタイミングで言うしかない!


「あの、二人に聞いてほしいことがあって……」


「「え?」」


 二人は目を丸くしてお互いを見合った。周りに人もいないことだし、今言うしかない。


 周りに人がいたら他にも行きたいっていう人がいるかもしれないしね。


「その、三人でアマナイ行かない?」


「アマナイ!」


「アマナイ…………」


 あ、あれ?


 興味津々そうに反応するすずめちゃんとは真逆に、栞ちゃんは少し気まずそうに顔を俯けた。


「栞ちゃん行けなさそう?」


「いや、全然更紗ちゃんの誘いなら行くけど……」


 顔を上げたかと思えば、次は目線を逸らしてしまった。


 やばい、踏み込み過ぎたか……。


「ご、ごめん……やっぱなしに――」


「――いや、行く」


 私の言葉を遮るように栞ちゃんが答えた。


 なんか無理しているような気もする。


「大丈夫?」


「大丈夫大丈夫! 今週末とかでいい?」


 私は別に予定なんかあるわけもない。


 私はそっとすずめちゃんに目線を向けると、コクっと頷いてくれた。


「いいよ」


「私も大丈夫、グループ作っておくね」


 すずめちゃんが素早い手つきですぐにグループを作ってしまった。流石陽キャ。


 そのまま栞ちゃんは自分の席に鞄を置きに行ってしまった。


 なんかやっぱりアマナイ嫌だったのかな。


 私は先ほどの栞ちゃんの表情を思い出す。なんかアマナイにあるのかな。


「楽しみだねー! アマナイ初めてなんだよね」


「私も!」


「新しく水着買おっかなー」


 そんなことを呟いて、すずめちゃんはスマホで水着を調べ始めた。


 水着なんて家にあるのかな。


 自分の部屋を漁ったところ、水着なんて見当たらなかったような気がする。


 なさそうだし、一応買わないとな。


 *


「更紗ちょっといい?」


「ん、わかった」


 お弁当をようやく食べ終えたとき、隣でべったりだった栞ちゃんが立ち上がって、ひょいひょいと廊下に手招かれた。


 廊下に出ると栞ちゃんが話を始めた。


「その昨日の続きなんだけどさ」


「ああ、うん!」


「あきた屋に行ってみたんだけど、いちご大福がなくて……」


「ああ……」


 やっぱり栞ちゃん気に入ったんだ、原作でもぞっこんだったしね。

 

「あれ裏メニューだから『いちご大福星付き』って言ったら買えるよ」


「ほんと! ありがとう」


 すると―—


 声を弾ませた、その勢いからか栞ちゃんが手をぎゅっと掴んできた。


 柔らかい。原作でしか見たことのなかった栞ちゃんの手がこんなにも温かくて、柔らかいとは……。


 じゃなくて、なんで手握られてんの!? それは反則でしょ!


「え!?」


「あ、ごめ……」


「いや、大丈夫だけど……」


 私がそう答えると栞ちゃんも私も顔を赤らめ、背けてしまった。


「でも、ありがと。更紗ちゃんがくれた味だから、もう一回食べたくなったんだ」


「……そっか」


 そう言ってニコッと笑顔を見せてくれた。それに私も微笑みで返す。


 喜んでくれたなら私も嬉しい。あれでバッドエンドは防げたしね。


 *


「うーん、ないな」


 私は家に帰り、一人部屋で水着を探していた。だが一向に見つかる気配はない。

 

 お母さんにも聞いてみたけど『知らないわよ』って言っていたんだよなー。やっぱり買うしかなさそうだ。


 でも、私のセンスに任せたら……。


 アマナイの雰囲気とは合わなくて、一人皆から白い目で見られる光景が容易に想像できる。


「よし、あの人に頼もう!」


 時計を見るとまだ17時だ。近くのショッピングモールならまだまだやってるはず!

 

 私はある人にメッセージを送ると、すぐに承諾の返事が来た。


『わかったわ、準備するから早くしなさい』





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百合ハーレム漫画のモブに転生したら、原作知識でなぜかヒロイン全員私ルートなんですけど!? 白雪依 @riiflos

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