神人大戦
月夏優雨
第1話-プロローグ-
この世界に人間は今はいない。
彼等は醜い争いを繰り返し、大地を汚し海を汚し空を汚した。
それだけでは足らず植物を燃やし、動物を虐殺した。
怒った神々は彼等が繁殖出来ないように、空気感染するウイルスを地上に降らし、彼等は徐々に衰退していった。
最期まで足掻いたがそれも無駄に終わり、ただ静かに消えていった。
動物たちは逆に寿命を伸ばされ、感情と言葉と知恵を与えられた。
それから数百年の時が過ぎ、大地は潤いを取り戻した。
残された植物と動物は平和に暮らしていた。
ある日、深い森の広場で毎日のように鳥の囀りが森の中を奏でていた。
中でも一羽の美しい鳥の歌声は、森で暮らす全ての動物たちに安らぎを与えていた。
だがある日変化は急に訪れた。
一羽の歌を妬む鳥たちがいた。
彼の歌のせいで自分達の歌が見向きもされなくなったことに嫌気が差したのだ。
彼等は彼のありもしない噂をでっち上げ、全ての動物たちに吹聴して回った。
そのせいか日に日に彼の歌を聞く動物たちは減っていった。
それでも彼は歌い続けた。
最期には誰からも相手をされなくなってしまったが、こっそりうさぎだけは、毎日彼の歌を聞きに来ていた。
どうやら他の動物たちはどこかの森へ移動してしまったようだ。
うさぎは何故唄い続けるのか鳥に尋ねました。
「何故歌い続けるのですか?」
彼は歌を止め答えました。
「最期に生まれたヒトがいた時代に、私は一人の少女に救われたのだ。私はヒトに狙われ、致命傷を負っていたんだ。それを一人の少女が手当てをしてくれた。そしていつもこの歌を口ずさんでいた。私は彼女に救われたんだ。ヒトには悪いヒトと善いヒトの二種類がいる。前者の方が圧倒的に多いんだ。だから神々はヒトを滅ぼした。本当にそれが正しい選択なのか私は疑問に思うのだ」
彼は少し悲しそうに言いました。
「ヒトは滅んで良かったと思います。わたしの同胞もヒトに捕まり食べられたり飼われたりしてました。他の動物は食べられる為に飼われていたと聞きました。もちろん、中には幸せに暮らしていた動物はいたでしょうが、ごく僅かだと思います。神様の選択は正しいです」
うさぎが言い終えると、彼は少し悲しそうな表情をしていました。
「君は善いヒトに巡り会えなかったんだね。それは悲しいことだ」
「森で暮らしてたら、ヒトに会うことなんて滅多にないですよ」
「それもそうだね。でも私達を捕獲に来るヒトはいるからね」
「どれだけの同胞が犠牲になったのかと思うと恐いです」
「そうだね。ところで君は名前はあるのかな?」
「はい、アルテミスと呼ばれています。貴方は?」
「私はルナとヒトに名付けられた。アルテミス、君は何故私の歌を聞き続けるんだい? 他のものはもうこないのにだ」
「誰がなんて言おうと素敵な歌だったからです。でもそれがヒトの歌だったなんてちょっと衝撃でしたけど」
「確かに好きでヒトに関わる変わり者はあまりいないからね。それでも良い歌だっただろう」
「はい、それは否定出来ません」
ルナは喜んでいた。
「アルテミス、ちょっと山上に行ってみないかい?」
「はい、構いませんけど」
二羽は歩き出しました。
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