第2話:その出会いは
Side:環 4/14 朝
朝になれば町に活気が溢れてくる。
私は咲代環(さきしろたまき)。
見上町にある咲代神社の子だ。
――とはいっても、別に特別な毎日を送っているわけじゃない。
時々神社のお手伝いをしているせいか、近所の人は私の事を“神社の子”と呼ぶ。
特に問題のある生活じゃないけれど、家が学校から遠いのは勘弁してほしい。
朝起きるのが大変だからだ。
私はいつも通りの支度をして家を出る。今日は気分がいい。
朝の占いで“今日は良い事が起こるでしょう”と出たからだ。
学校に向かって伸びる、坂道へ続く曲がり角の所まで来た時だった。
私が知らない、同学年であろう男の子を見かけた。
うちの学校は制服のネクタイの色で学年が判る。
彼は私と同じ緑のネクタイをしているので同い年なのだろう。
でも今まで彼を学校で見かけたことが無かったのだ。
真っ白な髪の毛、どこか周囲を威嚇する雰囲気のある男の子だ。
こんな生徒がいたら目立つだろうし自分も覚えているはずだ。
ふと好奇心で彼が何をしているのか気になり様子を窺ってみる。
そこには、これまた真っ白な毛並みの子猫がいて、彼の足元にすり寄っていたところだった。
彼は子猫を優しく抱き上げると微笑んだ。
それはとても優しい顔で彼から感じる雰囲気とは反対のものだった。
そうして見入っているうちに私は立ち去ることを忘れていた――
彼がこちらに気付いて近寄ってきていた。ただならぬ空気を感じる。マズい……
「アンタ、俺に何か用か?」
声を掛けられ焦ってしまう。
私の様子を見て、先程までの笑みが消え去った彼は、こちらを警戒しているようだった。
「えーっと、そのー、なんといいますか……」
ヤバい、何か、何か言わないと。そう思っていると、
「……用はなさそうだな。悪い。変に勘繰ったみたいだ。
それと、もう学校へ向かった方が良くないのか?」
そう答えた彼は思ったより威圧感はなかった。
だからなのか、不意に口が滑ったのだ――
「猫好きなんですね。“意外と”」
落ち着いて考えれば初対面の人に言われたくはないな、と思った。
「………………」
「………………」
そのまま彼は押し黙ってしまった。こちらも気まずい……
なんだか黒いオーラ的な何かが出ている気もしてきた。
……もちろん、気のせいだと思いたいけど。
「えっと、その、ごめんなさい。それじゃ」
私は逃げるようにその場を離れた。
占いでは今日良い事が起きるんじゃなかったの!?
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