いつも通りの日常を望む
雪猫@筋トレ研究中
奇怪!?——戦場に現る不審者!
「———ッッ!!——ァ!?」
そこは戦場であった。
戦う理由は実にくだらないモノであった。
それは、とある国の王子が隣国に招かれた際に、国民の王子を見る目が気に入らない…という意味のわからない言いがかりから始まる。
王子はその国民を
———見せつけとして斬首の刑にした。
だが、当然王子の言い分はおかしなモノであり、隣国の王はそれを非難した。
自国へと戻った王子は、自らの父——王へ以下のように進言した。
隣国の王はこちらの国へ領土的野心があり、このような言いがかりをつけてきたのです。
このような謂れのない非難を受けることはありません。即座に抗議しましょう。
王は息子可愛さにこれを信じた。
こうして2国間の関係は最悪のものとなり、
冒頭の戦いへと発展した。
「もう…無理だ……飯も尽きたし、仲間もみんな、やられちまった…こんな無駄な争い……もう、うんざりだ」
両国の兵士や指揮官は皆、もう既に戦う気力を失っていた。
「先輩、もう、どうせ俺ら死にますし、最後に敵陣に突っ込みません?…俺、転移魔法使えますんで……距離が足んなくってウチには帰れませんけどね」
「っはは、そりゃぁいい…俺も自爆用の魔法使えんだよ……一生使わないと思ってたんだがなぁ」
二人は隣国の魔法学園の先輩と後輩であり、卒業後も同じ軍の部隊に所属して戦場を共にしていた。彼らの心は、もう折れてしまっていた。
「んじゃ、行きましょう!」
「ああ!俺たちが一緒ならどんな奴にだって負けねーよ」
「行きますよー、転移魔法……起動!先輩!そっちも準備お願いします!」
「わかった!爆発…消費媒介——【魂】
…よし、できたぜ……転移したら、即やるぜ」
「おっけーです!———座標『1265 . 2658 . 875』へ転移!」
「…また会おう。後輩——」
「はい——先輩!」
後輩が叫ぶと、彼ら二人の体は消え、た瞬間に戦場に鼓膜が破けそうなほどの爆音と、閃光が弾ける。今、二人の尊き命が散った。
もちろんだが
これもここではありふれた話の一つに過ぎない。
——しかし、ここに、この戦場を月に一度、紅茶を飲みながら散歩する男が…いた。
彼はいつも通りの黒のズボンに、上は白のシャツを着て、砂糖が、大さじ3杯ほど入った。甘過ぎる紅茶を、自作の容器に入れて飲みながら、歩く。
彼の名は、クロノス=デスティ
いつも通り、散歩をしにきた、男だ。
「あれ…?なんだか臭いな…」
男はいつもの散歩コースが汚されていることに気づき、顔を顰めた。
——その瞬間に運命は変わり、時空が歪み、戦いの原因となった王子の存在が…消えた。
「おっ、匂いが消えた!…今日もいつも通りの、いい紅茶日和だなぁ…」
戦場は消えたが、この世界のどの存在も、異変に気づくことは、できない。
神だろうが、時の番人だろうが、運命の体現者であろうとも…認識できない。
事実を知るのはクロノスのみ…
いや、彼がいつも通りの日常を過ごす限り、戦場に興味を持つことも、どうでもいいことを、思い出すこともないだろう。
ましてや、彼は、何もしていない。
ただ、お気に入りの散歩コースが汚れているなぁ…と考えて、口に出しただけなのだ。
これも、彼のいつも通りの、日常の一幕に過ぎない。
こんなことはいつも起こっている。
誰にも、知られる事などなく。
———————
初投稿です。
よかったら
日常の一幕に
読んでもらえたら
嬉しいです。
次の更新予定
2026年1月10日 07:00
いつも通りの日常を望む 雪猫@筋トレ研究中 @cool_character_love7
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